第72章 紙飛行機の謎
園子ちゃんと顔を見合わせて私達も家の中へ上がらせてもらう。
蘭ちゃんが探し回ってるけど返事はない。にしても本当に大きな家だな……不意にガタッと物音がした。何の部屋かわからないが、それに蘭ちゃんも気づいたらしい。
「もう!帰ってるなら帰ってるって教えてよね!」
そう言いながらドアを開けた。どうやら洗面所らしい……いや、それよりも。
なんでお前がここにいるんだよ?!
少し前に例の丘で会ったあの眼鏡の男。歯ブラシをくわえたまま顔を向けられる。
「あ、あなた……誰?」
2人の知り合いでもないらしい。
「ちょっと、うそ、泥棒?!」
園子ちゃんの怯えたような声に、泥棒にしちゃ肝が座りすぎてるねぇ……なんて思ったけど、それよりも。こういう時は一度家の外に出るべきなのか?うーん、いつもは問答無用で倒すからな。
「園子、下がって!」
「だから……」
男は何か弁解しようとしたみたいだが、それよりも先に男の顔面に蘭ちゃんの蹴りが炸裂。わぁ、痛そう……ん?なんか変……な気がする。蘭ちゃんも微妙な顔してるし。園子ちゃんは先程までとは打って変わって啖呵切ってるし。
ピリリ、ピリリ……と、これは着信音?
「あ、あの、携帯電話鳴ってますが……」
「あ……」
蘭ちゃんが慌ててポケットから携帯を取り出す。悪いとは思ったけど、聞き耳を立てさせてもらう。どうやら相手はコナン君らしい。
「ええっ!先月からここに居候してる大学院生?!」
とりあえず泥棒ではなかったらしい。新一兄ちゃんにもメール……ははは、君が工藤新一じゃない。そして、先生が来たからと電話は切れてしまった。
「どうもすみませんでした!!」
2人の謝罪の声が響いた。私も居合わせたし、軽く頭を下げる。
この男の名前は沖矢昴というらしい。大学院生で東都大学の工学部だそうだ。女子高生の会話のスピードについていけず、ただ聞いていることしかできないのだけど……ずいぶん頭が切れる。
「すみません!ちょっと洗面所に!」
慌てて洗面所に入っていく2人を見送った。私はわざと視線を逸らしているけど、男からはこちらを向けとばかりに視線が突き刺さる。
「貴女は?」
『あ、彼女達の知り合いです。時間もあったし、掃除なら人手があった方がいいかと思って』
「なるほど。そうでしたか」