第72章 紙飛行機の謎
「あれ、亜夜さん?」
背後から声をかけられて振り向いた。そこにはウェルカムバーガーの店内から出てきたであろう蘭ちゃんと園子ちゃん。
『あら、蘭ちゃん。園子ちゃんも』
「こんにちは!お出かけですか?」
『ええ。ちょっと用事があって。2人はもう帰り?早いわね』
「今日テストだったんです。だから午前中で学校は終わりで」
『……なるほど』
学校に通ったことがないからなぁ……テストの日はテストしかないんだろうか。どう捉えられてもいいような返事しかできない。
「あーあ、なんで花のJKが幼なじみの家なんか掃除しなきゃいけないのよ」
「ごめんって」
『掃除?』
「あ、はい。これから新一の家の掃除に行くんです。アイツもいろいろ大変みたいだし、私にできることはこれくらいなので」
そのアイツは貴女のところにいる少年よ……なんて言えないし、笑って誤魔化す。
『蘭ちゃん、いいお嫁さんになりそうね』
「んえっ?!」
『新一君もこんな彼女放っておくなんて……』
「ちっ、ちが……新一とは付き合ってないです!」
『あれ、そうなの?てっきり……』
あれ、違ったっけ?どうにか笑顔を崩さないようにしてるけど、内心めちゃくちゃ焦ってる。
「あ!せっかくですし亜夜さんも一緒に行きませんか?」
「ちょっと園子!」
『私は構わないけど……掃除なら人手もあった方が早く終わるだろうし。でも、新一君とは1回会ったきりだし、そんな人が家に入るのは……』
「いいんですよ!ね!蘭!」
正直ありがたい。工藤新一の家に堂々と入る口実になる。掃除だけで情報が手に入るなら願ったり叶ったり。
「じゃあ、すみません。お願いします」
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「……ってことがあって!」
『へえ……すごいわね』
少し前に現れたという怪盗キッドの話を、もうそれは楽しそうに話す園子ちゃん。結局お宝は奪われず、新聞にはコナン君がでかでかと乗っていたけど。
そこから数分後、結構な豪邸が見えてきた。
「ここです」
そう言って蘭ちゃんはバッグから鍵を取り出す。扉を開けて、蘭ちゃんは首を傾げた。私も同じように首を傾げる。所々から人のいる気配がする。
「新一!どこー!」
彼がいると思ったのか、蘭ちゃんは家の中へと飛び込んでいく。
いや、工藤新一ではないだろう……じゃあ誰が?