第70章 言われない言葉※
『ひ、あああっ!』
一度達してしまえば、その後は短いスパンで次々と快感に包まれる。こんな状況ではゴムがつけられるわけもなくて、白濁した欲はナカに直接吐き出される。何度も何度も出されているせいで体位を変える度に溢れて垂れていく。
きっとキスマークや噛み跡は身体中につけられているだろうなぁ……。
体位がまた変わってジンと向き合う。汗と体液のせいでぴったりと肌同士がくっつく。それは心地いいのに……浮かべられた表情からはジンが何を考えているのかわからない。
無表情ってわけじゃない。怒ってるのはわかる。でも、怒り以外の何かがある。それが何か問い詰めようにも押し寄せる快感のせいで、口から漏れる声は言葉にならない。
『んあ、ああっ!』
イきすぎて身体の力が抜けた。ぐったりとした身体をベッドに預け、荒くなった息を整える。
「……どうして言わねえ」
『え……?』
ジンが俯いて苛立ったようにそう呟いた言葉が理解できなかった。
何か報告しなければならないことでもあっただろうか?それとも、ほかに?バーボンのところにいたことを謝罪するべきだったか?確かに逆ギレみたいな言い方をしてしまったけど。
『ジン……?ごめんなさい……』
「何が」
『えっ、あ……バーボンのところに行ったこと?』
ジンが何を求めているのかわからなかったから、そう答えることしかできない。ジンは鼻で笑って顔を上げた。一瞬、なんとも言えない表情を浮かべられた。
『ジン……?っ、んああっ!』
埋められたままだったモノが抽挿を始める。
『や、まって……っあ、ねえ……!』
「……っ」
快楽ばかり与えられていたら思考が鈍る。ジンを押し返す力もないけど、それでも目の前の胸板に手を伸ばした。
「……言え。そうしたら止めてやる」
『や、じゃない!でも、わかんないのっ……!』
揺さぶられながら必死にそう言った。
抱かれるのが嫌なわけじゃない。ただ、ジンが何を求めているのか知りたいだけだ。教えてくれなきゃわからない。
『あ、んうっ……あああっ!』
身体が大きく跳ねる。ジンの顔が耳元に寄せられた。
「……亜夜」
『っ……』
久しぶりに呼ばれた名前に涙が浮かんだ。嬉しいのに、その声は悲しげだった。
「……言え」
『ごめん……わからないよ……』