第6章 姉妹って素敵ね
「あ、わ、私は宮野明美ですっ」
『明美ね、よろしく』
敬語辞めてね、と言うと明美はブンブンと頭を振る。
「そんな、幹部の方にタメ口なんて……」
『いいの。同い年なんだし、あなた達とは仲良くしたいの』
「わかり……わかった」
不本意そうな返事。まだ、仕方ないか。
『好きに座って……紅茶かコーヒー、あとは水くらいしかないんだけど』
「紅茶がいいな」
「私もそれで……」
『わかった。用意するから待ってて』
とは言ったものの、2人の会話は始まらない……こんな所ではかえって気が抜けなかっただろうか。
『もし、会話の内容とか聞かれたくないなら、耳塞いでるし……それでも不安なら外に出るから……』
「あ、いや、そういうのじゃなくて……」
なんで監視なんか……と申し訳なさそうに言われる。
『……1番はあなた達と仲良くなりたいから。それと、姉妹って羨ましいの……監視の目を気にして、会いたくても会えないなんて寂しいじゃない』
紅茶をいれたカップを2人の前に置く。
『だから、少しでも気楽に話せるかなって思ったけど……こんなものあったらねえ……』
並べられた武器の数々。普段お世話になるけど、今はその存在がちょっと鬱陶しい。
「大丈夫。わざわざ時間取ってくれたのにごめんなさい」
志保が言う。
『謝らなくていいよ……明美も気にしないで』
それじゃ、外に出ていようか、と思い踵を返そうとする。
「あの、姉妹が羨ましいって……」
明美に言われて体を止めた。振り返ると明美と目が合う。
「もし、嫌じゃなければ貴女のこと知りたい……」
『……あまり面白くないと思うよ』
それでもいい?と聞くと2人は頷いた。
『この組織に来たのは15歳の時。それまでは別の組織にいた……いろいろあって今はここにいるけど。元の組織で教育受けてたからできることが多くて、コードネームを貰ったのは17歳になってすぐ』
2人の表情を見て続ける。
『私には家族がいないの。そもそも会ったことすらない。だから、2人が羨ましくて……』
明美に会えると聞いた時の志保の表情。ふたりが抱きしめ合う姿。どちらも私には得ることができないもの。
『姉妹って素敵だなって思ったの。だから……』
すると明美が急に立ち上がり、ぎゅっと抱きしめられる。
「ごめん……こうした方がいい気がして」