第6章 姉妹って素敵ね
正直、どうすればいいかわからなかった。
『……明美』
「私、貴女のこと誤解してたみたい。」
体を離して言う明美。
「幹部の人って怖い人ばかりだと思ってた。だけど、貴女は……亜夜は違う気がする」
『そうかな……』
「そうだよ……もし、嫌じゃなければ頼って欲しいかな」
上の人に言うことじゃないかもしれないけど、と笑う明美。
『そんなことない。ありがとう』
「話くらいしかできないけど……ほら、姉妹同士でも話せないようなこととかあるし、亜夜がいるともっと楽しくなるかなって……」
「あの、2人だけで話進めるのやめてくれない?」
ムスッとした顔の志保。紅茶の湯気もすっかり消えてしまっている。
「あ、ごめんね。つい……」
「もう……お姉ちゃんってすぐ周り見えなくなるんだから」
『ふふっ、どっちがお姉ちゃんかわからないね』
「よく言われるわ」
「ちょっと志保」
そのまま会話が弾んだ。同年代の子と話すなんて今までほとんどなかったから、2人が受け入れてくれたことがとても嬉しかった。
『あ、まずい。こんな時間』
ふと時計を見ると、ここに来てからだいぶ時間が経っていた。
『そろそろ戻った方がいいね……2人とも送るよ』
そう言って部屋を出た。先に志保の所。
『またね。見送り行きたいけど……』
「仕方ないわ。時々連絡するね」
「じゃあね、志保」
ぎゅっと抱きしめ合う2人。やっぱりいいな、姉妹って。
すると、明美と体を離した志保がこちらを向いて腕を広げた。恥ずかしそうに視線を逸らす。
「……亜夜さんも」
驚いたがそっと腕を回した。
『それじゃあ……元気でね』
明美の所へ向かいながら話す。
「ありがとう亜夜。こんなにいろんな話できたの久々。始め変な態度でごめんね」
『気にしないで、私も楽しかったから。こういう機会なかなかなかったし』
そう言って明美に携帯番号のメモを渡す。
「……いいの?」
『うん。時々連絡してね。時間合えば会いたいし』
「ありがとう!あ、ここで大丈夫」
気づかないうちにもう着いてしまった。
「ねえ」
腕を広げる明美をぎゅっと抱きしめた。
『またね、明美』
「うん、亜夜も元気で」
そう言って別れた。
……2人のことは私が守らなきゃ。