第6章 姉妹って素敵ね
「もしもし、お姉ちゃん?……久しぶり。今から会える?……本当?よかった……そう、第4ラボ……」
先程の会話の時より、志保の声は楽しそうだ。微かに電話口から聞こえる声も。
「……うん、いつもとは違う人……でも、他の人とは違う気がするから大丈夫だと思う……そう……待ってるね」
そう言って志保は電話を切った。
『来れるって?』
「うん!」
嬉しそうに笑う志保の顔は、年相応の無邪気な感じだった。
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「あ、お姉ちゃん!」
「志保!久しぶり!大きくなったわね!」
そう言って抱きしめ合う2人。本当に仲が良いのだろう。
『今日は私が視るから戻っていいわ。帰りも送り届けるし』
「し、しかし……」
『大丈夫よ、ベルモットに許可とったから』
不安げな監視役の女を帰らせた。
「えっと……貴女が?」
『そう。こんな所で立ち話もなんだし、場所変えましょう』
着いてきてと言って歩き出す。
「……ねえ、本当に大丈夫?」
「大丈夫だって。いい人だよ」
「志保がそう言うなら……あなたの勘当たるものね」
……それはそうだろう。初めてあった人間に対して不信感は抱くだろう。こんな組織に属していれば尚更。
『ごめんね、車あればどこか連れて行けたのに』
チラッと振り返って言うと、志保の姉が慌てたように言う。
「い、いえ、志保に会わせてもらえるだけで嬉しいですから……」
『そう言って貰えると助かるわ……それと同い年だから敬語じゃなくていいよ』
「同い年!?」
『……そんなに驚く?』
「え、あ、ごめんなさい。大人びてるから年上かと……」
『よく言われるわ。あまり気にしないで』
しばらく歩くと、私の部屋に着く。
「ここは……?」
『私の部屋。自由に使えるのここしかないから……ああ、変なことしないから大丈夫よ』
志保の姉が少し不安そうな顔をした。まあ、当たり前か。
どうぞ、と言って部屋に入れる。恐る恐る入る2人。そのまま一点に目が釘付けになった。
『……任務で使うの。安全装置ついてるから触らなければ大丈夫よ』
ガラスケースにしまわれた拳銃やナイフ。驚かないのも無理はない。
「やっぱり貴女は……?」
『ええ。名前は黒羽亜夜。コードネームはマティーニ……名前で呼んでくれると嬉しいわ』