第58章 少年探偵団と先生と
「ジョ、ジョディ先生?」
子供たちは揃って後ろを振り返る。私も合わせて振り返って……本当、自分の運のなさを呪いたくなった。
FBI……ベルモットが送ってきた写真の女。その隣にいるのは眼鏡をかけた男。
「あー!新出先生も一緒なんだ!」
「なんだよ、またデートかよ!」
「ち、違うよ。たまたま会って……」
「Oh!またレディに恥をかかせるんですかー?」
FBIが一緒ってことは、この男も?それとも……私の知っている誰か?
「そちらの方はー、はじめましてでーすね?お名前聞いてもいいですかー?」
『えっ、と……』
「亜夜お姉さんっていうんだよ!」
「僕たちの友達です!」
「さっき会ったばっかだけどな!」
子供たちが口々にそう言う。ありがたいような、そうでないような……どちらにしても、これ以上聞かれる前に……。
『先生ってことは教師の方ですか?』
「Yes!帝丹高校でEnglish teacherしてまーす!」
『高校の?なんでコナン君達と知り合いなの?』
「蘭姉ちゃんの先生なんだ」
『蘭ちゃんの?だから知り合いなのね』
「Oh!毛利さんのお知り合いなんですねー!」
『ええ、まあ』
そう答えると、隣の男の目が一瞬細められた。私が視線を向けると何事もなかったかのようにニコッと笑う。
『じゃあ、そちらの方も?』
「いえ。僕は校医をしています……あ、保健室の先生の方がわかりやすいですかね」
ポリポリと頬を掻きながら言う様子は一般人にしか見えない。もし仮に、この男が私の知っている誰かなら……該当する人物は1人しか思い浮かばない。
「そういえば、あの時のお礼まだでしたね!」
「あの時?」
男の方が首を傾げる。その様子とは真逆の子供たち。
「ほら、この前バスジャックにあった時ですよ!」
「先生達、めちゃめちゃかっこよかったぜ!」
「ホントホント!ありがと!先生!」
「ああ……体が勝手に動いただけだよ」
「Yes!子供を守るのは大人の使命でーす!」
そりゃFBIなら、バスジャック犯くらい取り押さえられるでしょうね……にしても、この子達もベルモットが乗っていたバスにいたのか。この女も、隣の男も。
「ああ……みんな一緒だ……」
いつの間にか、コナン君は誰かと電話していたらしい。
「お前ら行くぞ。車直ったってよ」