第58章 少年探偵団と先生と
「めちゃめちゃ美人だな!コナンの知り合いか?」
「元太くん、初対面の人にそれはダメですよ」
『えっと……』
言葉に詰まる。この子達に初めてあった時に名前を明かしたわけではないのだけど。にしても元気だな……小学生ってこんな感じなのか?でも、コナン君はなんか違うし……。
「お前らやめろよ。亜夜さん困ってるだろ」
「亜夜さん?お姉さんのこと?」
「あ……ごめん亜夜さん、つい……」
『大丈夫。気にしないで』
むしろ助かった、とは言えないけど。
「私歩美!」
「オレは元太!」
「僕は光彦です!」
『歩美ちゃん、元太くん、光彦くんね』
そう言って微笑むと歩美ちゃんに手を掴まれる。
「亜夜お姉さんも一緒に行こう!」
『えっ』
「そうですね!せっかく友だちになれたんですし!」
友だちって……まだ会って数分なのに。そんな感覚で誰かと知り合うことなんて今までなかったし……これが普通なのか?
「おいおい……亜夜さんはこの後用事があるんだよ」
「えーっ!?」
「仕方ねえだろ。つーか、博士と灰原は?」
「博士なら車の調子が悪いからって駐車場で見てるよ。アイちゃんも博士と一緒」
博士……前にコナン君が話してたな。どんな人なんだろう。それとアイちゃんって……この子達みたいに元気な子だろうか。
「亜夜姉ちゃん、もう行っちまうのか?」
『うーん……』
スマホの時間を確認すると、まだ待ち合わせの時間まで少し余裕がある。少しくらいならいいか。
『あんまり長くはないけど……30分くらいなら……』
「ほんと!じゃあ上行こ!」
『いいけど……何か見たいものあるの?』
「おもちゃ売り場!仮面ヤイバーの新しいやつがあるの!」
『仮面ヤイバー……』
名前と見た目は知ってる。でも、詳しいことは全然知らない。手を引かれるまま百貨店の中に入る。コナン君をチラリと見ると申し訳なさそうな顔をしていた。
まっすぐエレベーターの方へ向かう。日曜日のせいか人が多くて結構な人だかり。
さっきから子供たちが仮面ヤイバーのことを教えてくれてるけど、そうなんだ、すごいねとしか返せない。ちょっと調べてみるか……。
「Hi、クールキッド!偶然ですねー!みんなでお出かけでーすか?」