第49章 衝撃の事実
首だけを回して後ろを見ると、予想通りの人物が。
『……おかえり』
「入らねえなら退け。邪魔だ」
『えっ、あ、ごめん……』
慌てて部屋の中に入る。ジンは私の横をすり抜けてソファーに座り込んだ。
『……早かったんだね』
「遅くならねえって言ったろ」
仁は短くなったタバコを灰皿に押し付け、また新しいタバコに火をつける。
「その顔やめろ。落とせ」
『……わかったよ』
シャワーも一緒に済ませてしまおう。チラッとジンを見ると視線がぶつかって、咄嗟に逸らしてしまった。
『次いいよ』
シャワーを終えて部屋に戻りジンに声をかける。すると、無言で立ち上がって帽子とコートを脱ぎ捨てバスルームに入っていった。毎度のことながら、それらをハンガーにかける。
『さて……』
パソコンを立ち上げて長々とパスコードを打ち込む。数秒後映し出されたAPTX4869の使用者リスト。一つ一つ名前を見ながら下へスクロールしていく。
そして、見つけた工藤新一の名前の横には死亡の文字。確認者は……
『シェリー……』
流れるような筆記体で書かれているのは間違いなくその名前。さっき、蘭ちゃんの話していたことが本当なら、シェリーは嘘の報告を上げたことになる。でも、その理由を問おうにも今彼女がどこにいるかわからない。
そのページを閉じて、次は工藤新一の名前を入力。彼が関わった最後の事件はトロピカルランドでの一件。それ以降、ニュースに出た様子はない。にしても……
『偶然……かしらね』
工藤新一がメディアにぱったりど出なくなった時期と、毛利小五郎の名前が世間に出始めた時期。若干の空白こそあるものの、ほぼ重なっている。
あの2人にどんな繋がりがあるのか?……駄目だ、思考がまとまらない。でも、何か大きなことを見落としている気がする。
「……何を調べてる」
『っ……!き、急に声かけないでよ、驚くでしょ!』
「何度も呼んだ。てめぇが気づかなかっただけだろ」
『ごめん……あ、タバコの前に髪乾かさないと風邪ひくよ』
「風邪なんてひいたことねえ」
止める声も聞かず、またタバコに火をつける。
「で、何を調べてる」
『あー、毛利小五郎って、最近有名な探偵なんだけど……』
「……知らねえ」
『ほら、前に始末……した工藤新一っていたじゃない?』
「始末したヤツのことなんざ覚えてねえ」