第49章 衝撃の事実
『……それってどっちの反応?』
「え!え!25歳?!」
「もっと若いかと思ってました!」
「あ、でもでも!雰囲気はめちゃくちゃ大人っぽいです!」
『そう?』
「25ってことは8歳違うんでしょ……?8年後こんなに綺麗でいられるかしら……」
『大丈夫よ、みんな可愛いから』
久々だな、こういう感じの会話。明美と志保と話していた時のことを思い出して、胸の奥がキュッと苦しくなる。
「亜夜さん?どうかしましたか?」
『ん?あ、なんでもないわ』
心配そうに顔を覗き込まれて慌てて笑顔をつくった。そして、片付けが終わったらしい店員の……梓って呼ばれてた子も一緒に、いろんな話題で盛り上がる。
新鮮だった。普通の生活を送ってるからこその話題。学校で何があったとか、新しくできたお店とか流行りの服とか……私は通ってこなかった道の話。
ふと、工藤新一のことを思い出した。こんな楽しい会話に水を差すのは気が引けたけど、考え始めるとどうしても聞きたくなってしまう。
『そういえばさ』
「なんですか?」
『あの子とはうまくいった?えっと……工藤新一君と』
「あー……」
蘭ちゃんの顔が少し曇る。当たり前だ。好きだった男が死ん……
「最近ずっと学校休んでるんですよね……厄介な事件に巻き込まれてるとかで」
『……え?』
「あ、でも、元気にしてるみたいですよ。時々電話もかかってくるし」
死んで……ない?確かにニュースや新聞にそのことが書かれたことはなかったけど、SNSではメディアへの露出がなくなったせいで、死んだんじゃないかって憶測も飛び交い始めてる。そもそも組織の方には死亡報告が上がっていたし、しかもそれを上げたのは……。
「トロピカルランドで亜夜さんと別れた後いろいろあって、結局何も伝えられないままどっか行っちゃうから……」
「ほんと男って勝手よね!!」
『そうね……』
2人の言葉をなんとか受け答えながらも頭の中は混乱していた。
「新一のこと、気になりますか?」
『……まあね。前までいろんなメディアに取り上げられてたのに、最近は全くないじゃない?少し心配だったんだけど……元気そうなら何より』
思っていないわけじゃないけど、本心とはだいぶずれた言葉を並べる。それを悟られないように、また笑みを貼り付けた。