第49章 衝撃の事実
『任務完了、っと』
今日の任務はUSBの受け渡し。米花百貨店の中でただ受け渡すだけ。報酬云々はまた別の人がやってくれる。
ジンにメールを送ってスマホをバッグの中にしまう。そして、また別のスマホを取り出した。
これは完全プライベート用。変装した自分の時にしか使わないやつ。こんなの持ってることがバレるとたぶんまずいので、基本は電源を落としてバッグの中に入れたまま。もちろん万が一見つかった時のためにパスコードは結構長め。
『微妙な時間だなぁ……』
もうすぐ16:00。帰るには早いし……うーん、どこかでお茶でもしていこうかな。
「あ、亜夜さん!」
なんて声に振り返れば……
『蘭ちゃん?偶然ね』
制服姿の蘭ちゃんともう1人。見覚えのある子。
「ホントです!お出かけですか?」
『用事が終わったところなの。だからどこかでお茶でもしていこうかなって』
「あ!それならポアロ行きませんか?」
『ポアロ?』
「ウチの下にある喫茶店なんですけど、この時間なら空いてると思うし……」
「ねえ蘭、勝手に盛り上がらないでよ。ていうかこの人誰?」
「あ、ごめん園子……亜夜さんって、ほら前に話したでしょ?」
「あー、トロピカルランドの美人さん?」
「ちょっ……違わないけどその言い方は……」
「いいじゃない、実際すごく綺麗な人だし!初めまして、鈴木園子です!」
『初めまして。園子ちゃん……でいいかしら?私のことも好きに呼んで』
「はい!」
どうにか笑みを浮かべて答えた。やっぱりあのパーティーの時の子だ。
「じゃあとりあえずポアロ行きましょ!」
そして……
「いらっしゃいませ〜、あら、蘭ちゃん」
「こんにちは梓さん。空いてますか?」
「ソファーがいい?それなら片付けるまで待って欲しいんだけど……」
「あ、カウンターでいいです!」
蘭ちゃんがそう言うと、どうぞと促される。奥から園子ちゃん、蘭ちゃん、私の順で座った。
普段飲むのは紅茶ばかりだけど、今日なんとなくアイスコーヒーを頼んだ。そして店内をぐるっと見回す。
こじんまりしたお店だけど、雰囲気は割と好きかも。
「亜夜さんっていくつなんですか?大学生とか?」
『まさか。今年で25歳よ』
「「えええっ!」」
蘭ちゃんと園子ちゃんの声が響いた。