第47章 価値
『あっちの顔にも慣れてほしいんだけど』
「……断る」
『……はあ』
ため息をつきながら椅子に座り、パソコンを立ち上げる。毛利小五郎、と入力すれば彼が関わったであろうたくさんの事件が検索画面に並んだ。
でも、1番古い事件でも起きたのは今年。しかも割と最近の日付だ。しかし、探偵事務所を開いたのは結構前。これだけ話題になるほどの推理力があるのに、今までに何もしてこなかったのは理由が……?
「……どうしてテキーラの後をつけた」
不機嫌そうなジンの声が聞こえた。
『どうしてって……ウォッカに聞いてないの?』
「聞いてねえからお前に聞いてるんだが」
『……別に。今聞いたって何も変わらないでしょ』
キーボードを打つ指が止まる。やっぱりあの時のテキーラにはムカついたなぁ……。
「言え」
『……ジンとウォッカのこと、悪く言われて気がしてムカついたの』
「……」
顔を少しだけ向けて答えると、ジンは灰皿にタバコを押し付けた。
『テキーラには嫌われてたし……自分が馬鹿にされるのは気にしないけど、私が原因で2人が悪く言われるのはおかしいでしょ?』
ふらっと立ち上がったジンは、ゆっくりと近づいてきて……左手で顎を掴まれ、意識が追いつく前に口を塞がれた。そして、空いた手がパソコンを閉じる。
『っ……ちょ、なに……?』
「……さあな」
『さあな、じゃない。何よこの手は』
服の裾から入り込もうとするジンの手を掴んで、ジンと目を合わせる。
『ねえ……わっ……!』
「暴れんな。落とすぞ」
スっと横抱きにされて、ベッドの上におろされる。
『待って待って!顔しか洗ってないの!シャワー浴びてから!』
「……先でも後でも変わらねえ」
『変わるわよ馬鹿!』
「うるせえな……」
ジンが上から退いたから半分体を起こして様子を見る。コートを脱いでるし……。
そしてまた横抱きにされて、今度はバスルームへ。
「シャワー浴びてながらシたら変わらねえだろ」
『そう言うなら出てってよ!』
「断る」
あっという間に全部脱がされて、抵抗することもできずそのまま……もちろん、バスルームだけで終わるわけもなく。びしょ濡れのままベッドで飛ぶ寸前まで……。
「だから言ったじゃねえか」
『しらない……ばか』
また戻ってきたバスルームで隅々まで洗われた。