第1章 組織との出会い
黒の組織side―
「ガキの誘拐?」
「そう、ラムの指示よ」
「チッ、なんで俺たちが……」
「結構手練らしいのよ、その子……多分顔見たことあるんじゃないかしら」
そう言ったベルモットに渡された写真に写る子供は、確かにどこかで見た気がする。
「○○って組織との取引の時にいたでしょ?」
「ああ、あの時の……」
覚えがある訳だ。子供だが、近寄り難い雰囲気だった。それにあの目は……
「……人殺しの経験もありそうだな」
冷たく鋭い目。周りを敵としか見ていないあの目は、自分と似ていた。
「ジン、行ってくれるわよね?」
「ああ……」
「ウォッカも連れていくから」
「ウォッカも?……てめぇも来るのか、ベルモット」
「あら、悪い?貴方たちだけじゃ、その子怒らせて連れて来れないかもしれないでしょ……それに、敵でも女が居た方が気が楽だと思うし」
きっと必要ないと言っても着いてくるだろう。今までもこうやって言いくるめられてきたのだから。
「いつ行くんだ?」
「ラムにはできるだけ早くって言われたわ」
「今夜か」
「そう言うと思ったわ……私は空いてるし、ウォッカも問題ないって言ってたし……」
「決まりだな、夜9時に駐車場へ来い」
「あ、そうそう、ついでにその組織も潰して来いって。後始末は末端のやつらに任せるからって」
ガキの誘拐と組織の壊滅。日常で行われるそれに、何故か今回は胸の奥からフツフツと湧き上がる何か……。
愛銃のベレッタを握る手が疼いた。