第33章 逃がさない※
「それは、すぐには無理な相談だな……っ!」
『ああっ、だめぇっ……イクっ!』
答えろ、と言うくせに抽挿は止まらない。思考がまとまるはずもなく、ただ快楽に堕ちていく。
「1人だけ、何回もイってんじゃねえよ……」
『あっまって、それだめっ……!』
奥にグリグリと押し付けられて、何度目かわからない絶頂がすぐそこまで来る。
「っあ、出すぞ……」
『んあああっ!』
私がイクと同時に、ナカに欲が吐き出される。久しぶりの感覚に身体中が震えた。
やっとジンの動きが止まる。肩で息をしながらジンを睨んだ。
『何が、知りたいの』
「言ったろ。どこで誰と……」
ジンの言葉を遮るように鳴り響いた着信音。その音は私のバッグの中からで。すぐに終わる任務だからと、電源を切ってなかったことを後悔した。
着信音は一度切れて、また鳴り始める。ジンはイラついたように立ち上がり、私のスマホを取り出した。そこに表示されている番号を見て、眼光が鋭くなる。
「……出ろ」
そう言われてスマホを差し出される。表示されている番号はそうであって欲しくないもの……バーボンの番号で。きっと連絡が遅いから、とわざわざあちらから電話をしてくれているのだろう。いつもならありがたいその気遣いが、今だけはとても迷惑だ。
「チッ……出ろ」
ジンのどんどん機嫌が悪くなっていくのはわかったけど、小さく首を振った。
「……ああ、その状態じゃ持てねえな」
そう言うと耳にスマホが押し当てられる。さっ……と血の気が引いた。
「すみません、まだ終わってなかったですか?」
聞こえ始めたバーボンの声。ジンを見て必死に首を振るけど、スマホが離されることはない。
「マティーニ……大丈夫ですか?」
コードネームで呼ばれたことにホッとしたけど、それも一瞬で。スマホがある方とは反対側の耳にジンの顔が寄せられる。
「ほら、答えてやらねえと不審がるぜ?」
『っ……あ、大丈夫……ちょっと、時間かかっちゃった……だけ』
「そうですか。迎えはどうしますか?」
『えっ、と……ごめん、今日は帰らな……んんっ!』
ジンのモノが入口にあてがわれ、止める間もなく一気に奥まで貫かれる。咄嗟に唇を噛んだけど、声は抑えきれなかった。
「マティーニ?どうしました?」
『んっ、なん、でも……ない』