第33章 逃がさない※
「データは?」
震える手でバッグを開け、データの入ったUSBを取り出す。それを強引に奪われた。
「……おい」
ジンが顔を向けた方をチラッと観るとウォッカがいた。全然気づかなかった……その原因は目の前の男の気配が強すぎるせいだろう。
ウォッカはデータを受け取ると足早に部屋を出ていった。状況が飲み込みきれなくて、拳銃をしまうジンに掠れる声で問いかける。
『と、取引は……』
「ウォッカが行く」
『だってメールは』
「うるせぇな……いちいち説明しないとわからねぇか?」
『わかるわけない……』
「……てめぇには聞きたいことがたくさんある」
そう言うとジンの指が首をなぞった。バーボンがつけたキスマークのある場所を。
「今、どこで誰と一緒にいる?」
『……』
「答えろ」
『……ジンには関係ない』
力なんて入ってる気はしなかったけど、泣きそうになるのを堪えるためにジンを睨んだ。
「……そうかよ」
ジンは自分のコートのポケットに手を入れた。出てきたのは黒い小さな瓶。瓶が黒いせいで中身が何かはわからない。でも、それを飲まされることはわかった。
逃げようとしたがそれを阻まれ、抵抗する間もなく顎を掴まれ無理矢理口を開かされる。その手を退けようにも力が強くてビクともしない。ゆっくりと口に瓶の中身が流し込まれ、吐き出そうとしたけど今度は口を強くて閉じられて大半を飲み込んでしまった。
「死にやしねえよ」
ジンが手を離すと、体が崩れ落ちた。四肢が痺れて力が入らない。睡眠薬や媚薬でなかったことを喜ぶべきか否か……。
腕を引っ張るように持ち上げられて、そのまま横抱きにされる。おろされてのは言うまでもなくベッドの上。
「さっさと答えろ。喋れなくなる程強い薬じゃねえはずだ」
『やだっ……』
「……」
ジンは無言のまま、私の服を脱がしていく。意識があるのに抵抗できないことに絶望した。下着も全て脱がし終え、どこからか手錠を取り出しそれを私の両手にかけた。
「……素直に言えば外してやる」
『話すことなんてない……!』
「いつまでそれが続くか楽しみだな」
そう言うと首のキスマークに強く噛み付かれた。どうにか歯を食いしばって耐える。いつの間にかジンも裸で。
「せいぜい足掻いてみろよ」
無情にも、全く濡れていないソコへジンのモノが突き立てられた。