第26章 上書き※
亜夜side―
目を覚ますと部屋の中に私以外の人間はいなかった。いつも以上にだるい体を叩き起してバスルームへ向かう。
『うわ……』
鏡にうつる自分の体には真新しいキスマークと噛み跡。昨日のジン、なんか怖かったな……なんて思いながらそれらを眺めていると、太ももに何かがつたう感じがして、慌ててバスルームへ駆け込んだ。
シャワーを頭から被りながら太ももにつたったそれを指ですくう。案の定、指についたのは白濁した欲。
『どうしよ……』
きっとある程度は掻き出してくれたんだろうけど、つたって落ちてくるってことはまだ少しナカに残ってるはず。自分で掻き出せばいいんだろうけど……自分で触れたことなんてないから躊躇いがある。自慰の経験なんてないのだから。
でも、誰かに頼む訳にもいかないし……仕方ない、できる限り自分でやるしかないだろう。無理な範囲は……またその時考えよう。
恐る恐る自分の下へ手を伸ばす。入口に指を這わせると、思いの外濡れていることに気づいた。
『んっ……』
ゆっくり、ゆっくり……自分の指を入れていくとナカは簡単に飲み込んでしまう。掻き出そうと指を動かせば、クチュクチュと音が聞こえてくる。
これは、自慰じゃない……仕方なくやってるんだから……そう思っても溢れてくる液。自分の指を自分で締め付ける力が徐々に強くなっていく。
『ん、ふっ……』
空いた手で口を抑えながら指を動かす。もう、当初の目的なんて頭から抜け落ちていた。ただ、気持ちよくなりたい。それなのに、もどかしい。
ジンはどうやって触ってたっけ……?いつもの快感が欲しくて必死に指を動かす。だから……いつの間にか外にいた、人の気配に気づかなかった。
バタンとバスルームのドアが開けられて我に返る。そこに立っていたのは服を脱いだジン。慌てて指を引き抜いた。
「……」
『あ、えっと……これは、その……』
「……昨日のじゃ足りなかったか?」
『ちがっ……ただ、あの……残ってた……のを、出そうと……』
「……ああ」
『えっ……や、ちょっと……自分でやるからっ……!』
ズカズカと入ってきたジンを止める術なんて持ち合わせていない。
壁に押し付けられてキスされたかと思うと、一気に3本の指が入ってくる。
『んんっ……!』
「……自分でして感じたか」
『あ、んぅ……ち、がう……』