第26章 上書き※
ジンside―
意識を飛ばした亜夜のナカから自身を抜く。するとついて出てくる白濁した欲。
本当はこんなつもりじゃなかった。今まではそうしてきたのに……そうすることができたのに。
「……」
亜夜からゆっくり垂れる欲をどうにかしないと。それらを掻き出そうとナカヘ指を入れた。まだナカは痙攣している。指を奥に進めれば軽く締め付けられ、指を動かせば徐々にその力は強くなる。本当は意識があるんじゃないかと思うくらいに。
先程まで亜夜が巻いていたバスタオルの上に掻き出した欲が落ちていく。既にかなりの量が出てきたが、まだナカには残っているはず。指だけではさすがに限界がある。全て出さなくても問題はないのだろうけど。
可能な限り掻き出し、それらが落ちたバスタオルは洗面所で一度洗う。ふと、顔を上げれば鏡にうつる自分の顔。
「……」
なんとも言えない、酷い顔だ。
洗ったバスタオルは洗濯機に放り込んで、別のタオルを濡らして亜夜の身体を拭いた。
―ジン、貴方最近何考えてるの?
いつだったか、ベルモットがそう言った時の気持ちがなんとなく理解できた気がした……不本意ではあるが。
亜夜が任務で抱かれてくることは何度もあった。その後、抱くことはあっても相手のことなんて気にしなかった。こいつの視線の先にいるのは俺だけだったから。
でも今日は、何度ナカに出しても、キスマークをいくつ付けても、どれだけ強く噛み付いても……亜夜が自分に他の誰かを重ねている瞬間があった。それは紛れもなくあの野郎……バーボンなのだろうけど。
ただでさえ秘密主義で、飄々とした感じがあり、いけ好かないヤツなのに……上から指示が来た時、何度も自分に言い聞かせた。これは、任務である、必要なことだ、と。
亜夜を送り出してからも気が気じゃなくて、1時間ほど経ってから電話をかけた。柄にもなく。しかし、何度かけ直しても一向に出る気配がなかった。
本当に気づかないだけなのか、それほどまでに夢中になってるのか、もう既に気を失うほどに抱かれたのか……何にしてもバーボンへの怒りは止まらなかった。
そして……焦りがあった。嫌な予感がした。悪い勘というものはよく当たる。
『お願い……好き、って言って?』
ああ、やっぱり……悪い勘は当たったらしい。