第26章 上書き※
アジトに着き、報告に行くジン達と別れて自室へ戻った。思考をはっきりさせたくてシャワーを浴びる。
たった2日間でいろいろありすぎた。バーボンのこともそうだし、警察が張り込んでたこともそう。
『勘弁してくれないかな……』
数日後には志保が留学を終えて帰国する。嬉しいことなのにそれをかき消すかのような出来事が重なるなんて……体より心が疲れてる。
思わずため息をついた。そこで下着の用意を忘れていたことに気づき、バスタオルを巻いてバスルームを出た。
『……え、なんでいるの?』
「んだよ、いたら悪いか」
『だって……鍵……』
「そんなものあってもなくても同じだろ」
ピラッと見せられたのはカード型のマスターキー。
『プライバシーって言葉知ってる?』
「馬鹿にしてんのか?」
『違うけど!ねえ、逃げないでよ!』
カードキーを奪おうとしたけど、ヒラリとかわされる。何度やっても取れない。
「……さっきからその格好で何してんだ」
そこでハッとする。そりゃ誰が見たってバスタオル1枚でぴょんぴょんしてれば何してるのかって思うよね……変に納得してるとそれを剥ぎ取ろうとしてる手に気づく。
『あ……ちょっ、取ろうとしないで!』
「誘ってんじゃねえのか」
『さっきしたでしょ!もう……』
「忘れたのか?」
グッと腰を引き寄せられる。距離が縮まってあと少しで唇が触れそう……。
「寝られると思うなって言ったろ」
『言ったけど……うわっ』
急に抱き上げられる。行き先は……もちろんベッドの上で。
『疲れてるんだけど』
「知るかよ」
『ほんとに……ねえ、待って……』
太ももをなぞる手に身体が熱くなる。抵抗しなきゃ……と頭では思ってるのに手に力が入らない。
「それにさっきは邪魔が入ったしな」
『あれは……必要な連絡だったでしょ……』
「フッ……お前もナカ締めまくってたもんなぁ?」
『あの状況で平然と続ける方がおかしい』
「……減らねえ口だな」
そう言ったかと思えば口が塞がれる。舌が割り込んでこようとするけど、せめてもの抵抗のつもりで歯をギュッと噛み締める。
「……おい、開け」
小さく首を振る。いつもいつもやりたい放題されてるこっちの身にもなって欲しい。
「素直に聞かなかったこと後悔させてやるよ」
再び唇が落ちてきて、バスタオルは剥ぎ取られた。