第24章 手解き※
ドレスの胸元を指で軽く引かれて肩の部分がずり落ちていく。そうなれば下着に包まれた胸が顕になる。
「……あの男が憎くないんですか?」
肩の傷跡に触れながら問われた。その目には怒りが浮かんでいる。
『組織に仇なす存在であったことは腹が立つけど……でも、この傷は私自身の過失によるものだから』
私がそう言うと、バーボンは呆れたようにため息をついた。そして、肩の傷跡に彼の唇が触れる。
「……本当にあの男が撃ったものなんですよね?」
一瞬思考が止まった。
『なんでそんなこと聞くの?』
「すみません……忘れてください」
下ろされたドレスは腰の辺りでぐちゃぐちゃになっている。帰る時もこれ着ないといけないから、シワになってないといいんだけど。
「ここにも傷、あったんですね」
腹部の傷に触れられた。だいぶ薄くはなったけど、絶対に消えることのない跡。
『綺麗な身体ではないでしょ?見て後悔してないの?』
「するわけないでしょう……まあ、さすがにここまで多いとは思いませんでしたけど」
バーボンの指がキスマークに触れていく。ひとつひとつ、ゆっくりと。途中までなんとなく数えてたけど、キリがなさそうで辞めた。
「結構な独占欲ですね。ジンとは恋人同士なんですか?」
『違うわ。恋人じゃない』
「にしては頻繁に行為に及ぶようですが……濃さに違いがあるのはそういうことでしょう?」
消えかかっているものから、昨日つけられた色の濃いものまで。確かに、最近はする度につけられている気がする。
『恋人じゃなきゃセックスしちゃいけない、なんて決まりないでしょ』
「では、どういった関係で?」
『そんなに興味あるなら口を割らせてみれば?』
「そうですね、せっかくこんな場を用意していただいたんですから……」
ぐるっと視界が変わって見えるのは天井とバーボンの顔。ドレスは脚からも抜かれて私は下着姿。
『やれるものならやってみなさい。簡単にできるとは思わないことね』
「それはいいですね……僕も楽しめそうです」
『口が減らないわね』
言葉の代わりにキスが口を塞いだ。何度か口がついて離れて、舌が差し込まれる。
……前より上手くなってる。初めてキスをしたあの夜に比べて格段に。
覚えがいいのか、場数を踏んでいるのか……とりあえず気を抜いたら落とされるかもしれない。