第24章 手解き※
『……こんな高い部屋取ったの?』
連れられて着いた部屋はなかなかの値段のスイートルーム。このレベルの部屋には任務で2、3回しか入ったことがないし、ターゲットも超重要人物だったり……。ふわっと甘い香りが漂う。
「任務とはいえ、貴女と過ごす部屋ですから出し惜しみはしませんよ」
ドアが閉まると同時に壁に押さえつけられる。首元にバーボンの顔が近づいて吐息が触れた。
「……いつもと違う香りですね」
そのまま唇が当てられた。体を手がつたい、ゾワゾワしたものが背中を這い上がってくる。
『……慣れてるの?』
「慣れてなくてもこのくらいできますよ」
『確認したいんだけど、貴方、セックスの経験は?』
「途中までなら。入れたことはありません」
『その顔で童貞って……よく今まで食われなかったわね』
そう言って体を離した。喉が乾いた気がして置かれていた水を口に含んだ。この後、どう行動すべきか悩む。
「……そのドレスを見て思い出しました。あの男の素性が割れたんです」
今着ているのは赤くて、体のラインがわかるタイトなドレス。
『あの男って……』
「ライですよ。もうそう呼ぶべきではないのかもしれませんが」
『へえ……流石ね、バーボン。それで教えてくれるの?』
「ええ。組織への報告も近いうちにしますが……今日相手をしていただくので先にお伝えします」
バーボンの目に宿った殺意。きっとあの時の事を……。
「赤井秀一……それが奴の本当の名前です」
『赤井……?』
聞いた事のある名前。それがいつ、どこでだったかは思い出せないけど。
「……どうかしましたか?」
『ううん、なんでもない。名前がわかったならその他の情報もすぐに掴めそうね。それじゃ……』
再びバーボンに向き合う。首にかかっているループタイに手をかけながら口角を上げた。
『そろそろ始めましょ……貴方は上と下、どっちがいい?』
「……どっちも貴女が相手なら楽しめそうですね」
『そういうこと言ってるんじゃないの。本当なら貴方を上にするべきなんだろうけど、両方の感覚知っておいた方が後々役に立つこともあるし』
「なるほど。では……まずは下からで」
『わかった……優しくしてあげるわね』
すぐ後ろにあったベッドにゆっくりと押し倒し口を重ねる。シャツのボタンを1つずつ、ゆっくりと外していった。