第23章 デート……?
「まあ、それなりに」
『身をもって知りたいなら撃ち抜いてあげようか?』
「そこまで好奇心旺盛ではありませんよ」
『なんだ、残念』
私の言葉にフッと笑ってどこからか取り出したサングラスをかける透。
「行きましょうか」
手を引かれてデパートの中へ足を踏み入れた。
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『……じゃあ、これと2つ前のジャケットください』
「まだ買うんですか……」
『服はいくつあっても困らないでしょ……次行きましょ』
3つ目の紙袋を受け取ってその店を出た。片っ端から店に入り、何着か試着させてその中で似合っていたものを買う……一つの店で済む予定だったけど今となってはまだまだ終わりそうにない。
「楽しいですか?」
『うん、誰かと買い物に行くの初めてだからね』
「へえ、意外です。せっかくなんですから自分の服も買ったらどうです?」
『ううん、いらない。買ってもらったやつたくさんあるから』
時々、自室に帰るととんでもない量の紙袋や箱が置いてあることがある。中身は服や靴で、全てベルモットが選んで買ってくれたもの。まだ着れてないものもいくつかあるし、彼女のセンスに適うとも思わないので余程のことがない限り自分で服は買わない。
なんでこんなにたくさん……と紙袋の山を見る度に思ってたけど、今ならベルモットの気持ちがわかる気がする。
次に入ったお店でもファッションショー状態で、次から次へ服を着せていく。しかし、困ったな……
「似合いませんか?」
『違うわ……どれも似合ってる』
「にしては悩んでいるようですね」
『貴方、顔はかっこいいしスタイルもいいから何着ても似合うのよ……』
このお店のデザインは特に彼に似合う。ラックから別の1着を取り透の元へ向かうと、ポカンとした顔をしている。
『それ気に入ったの?』
「え……あ、そうですね……」
『じゃあ、それと……』
数着を買って店を出る。次は……
『ねえ、他に見たいものある?』
「……」
『透?』
「あ、すみません。なんですか?」
なんとなくボケっとしてるように見える。さっきの店から様子が変。
『疲れた?どこかで休む?』
ここに来てから歩きっぱなしだ。疲れてもおかしくないか。
「……それなら一度これ車に置いてきます。貴女はこの辺りで待っていてください」