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【名探偵コナン】黒の天使

第18章 何も聞かないで※


条件反射で口を開いた。すると差し込まれる舌。

『んんっ……』

舌が絡む。だけど、なんかいつもと違う。ちょっと荒々しい……?

いや、そんなこと言ってる場合じゃない。今日は抱かれたくないから。

しばらくして口が離れた。同時に手も離れるので距離を取る。

『今日はそういう気分じゃないから……それとベッド勝手に使って』

ジンの返事を待たずにバスルームへ急いだ。

頭からシャワー浴びる。感情がぐちゃぐちゃでどうしていいかわからない。

ライの冷静を欠いた顔も、バーボンの絶望した表情も、ジンの怒ったような目つきも……スコッチの消えていく温もりも。

涙が溢れてくる。何度拭っても止まらなくて、息もうまくできない。耐えられなくてその場にしゃがみ込み……声を殺して泣いた。

どれだけの間そうしていただろう。開けられたドアの音に顔を上げる。

「遅せぇと思えば……なんてザマだ」

ジンはそのまま入ってきてシャワーを止めた。腕を引っ張って無理矢理立たされ、呆然としているとタオルをかけられる。そのままゴシゴシと頭を拭かれた。

されるがまま大人しくしていた。というより動く気力がなかった。体を拭き終わってもなお立ち尽くしている私を見て、ジンは舌打ちをした。

「……気に入らねぇ」

ボソッと呟いたかと思うと横抱きにされた。

……このまま抱かれるんだろうか。

抱かれたくないのに、そんな気分になれないのに抵抗することもしなかった。むしろ、抱かれた方が気が晴れるかな……。

おろされたところは予想通りベッドの上。裸のままで、だけどそれより顔を見られる方が嫌だったから両手で顔を隠す。

「……なんで泣いてる」

『ジンには……関係ない』

苛立ちをふくんだ声に、震える声で答えた。

また溢れそうになる涙を止めるために目頭を強く抑えようとしたが、呆気なく阻止され、両手はベッドに押さえつけられる。

「言え」

『……やだっ』

手首を抑える力はいつもより強い。目つきも鋭くて、だけどそれから目を逸らせなかった。

「……あの鼠か」

その言葉に僅かに反応してしまう。それをジンが見逃すはずがなかった。

「抱かれて情でも湧いたか」

『ちがっ……スコッチとは何もない!』

否定した途端、向けられる殺気。そして首の付け根に思い切り噛み付かれた。

「……俺の前でクズの名前だしてんじゃねえよ」
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