第2章 新たな組織と曲者たち
「あら、ベルモット帰ってたのね……その子がラムの言ってた子?」
急に後ろから声を掛けられたから、驚いて振り向いた。そこに立っていたのは、女性。左右で目の色が違う。気配を全く感じなかった……。
「そうよ。貴女が帰ってるなんて珍しいじゃない、キュラソー」
「ラムから明日の招集に出るよう呼ばれたの」
また出てきたラムと言う名前。聞く限りでは、その人が1番上の立場なのだろうか……。
「それじゃあ行くわね。ラムに報告しないといけないから」
「ええ、また」
そう言ってキュラソーは去って行った。
「……キュラソーには気をつけなさい」
『……どうしてですか?』
同じ組織の一員だろうに。
「敵としてって意味じゃないわ。もし、知られたくないことがあるなら彼女の前では出したら駄目。脳がちょっと特殊で、見たもの全て記憶してしまうから……その能力を買われて今じゃラムの腹心なんだけど」
『……わかりました』
隠したい秘密なんてない。今の私には何もないのだから。
「この部屋、好きに使って」
ベルモットはそう言ってドアを開けた。
促されて中に入ると殺風景ではあるが、生活には困らない程度に物が揃えられている。
「しばらくの間、ここで過ごしちょうだい。必要な物があったら用意するから言って」
『わかりました』
「あと敬語やめてくれるかしら?堅苦しいの嫌いなのよ」
『……わかった』
そう答えると、ベルモットは微笑んだ。
「名前も呼び捨てで構わないから……他の人もそう言うはずよ」
部屋の中を一通り見て回った。食料もある程度用意されている。随分手厚い気がするが……。
「それと貴女、スマホ持ってるかしら?」
そう言われて自分のスマホを差し出すと、スっと取られてしまった。
「悪いんだけど、これは処分させてもらうわ。万が一、貴方を追ってくる輩がいたら面倒だし。新しいものを近いうちに用意するから」
『わかった』
「ああ、そうだわ。貴女の名前と歳と誕生日、わかるかしら?」
『……』
何故という目でベルモットを見る。今までの組織ではそんなもの必要なかったから。
「身分証、作るのに必要なのよ。潜入とかする時にないと困るから」
『……名前も誕生日もわかりません。歳は15だと思います』