第2章 新たな組織と曲者たち
どれだけの時間走っていただろうか、車が停められた場所は地下駐車場のようだが、何しろセキュリティが厳重で、カメラなんていくつあっただろう。
「さあ、降りて」
女性の後に続く。
駐車場内には、バイパーとハーレーが停まっている。今乗ってきたポルシェもそうだが、滅多に見ることの無い珍しい車種。こんなの普通に走ってたら目立つだろうに……。
歩き出した3人について行くと、これまた厳重な扉。ピッピッと音がするので、そっと覗くと、扉を開くための暗証番号の入力中。一体何桁あるのかというくらいキーが押されたあと、静脈認証と虹彩認証をして、やっと扉が開いた。
「へえ、珍しい。揃いも揃って何しに……って、なんだいその子」
奥から歩いてきたのは、左目の部分に蝶の刺青が入った女性とサングラスと帽子を被った男。
「キャンティ……」
「ふうん……可愛い顔してるねえアンタ」
キャンティと呼ばれた女性は、私に近づいて上から下まで舐めるように見て笑った。
「辞めなさい、キャンティ」
「チッ、何さ。見るくらいいいじゃないか」
「変に手出さない方がいいわ……ラムの指示なのよ」
その名前を聞いてか、キャンティは目を少し見開いた。
「……わかったよ」
そう言って離れていった。
「せっかくの獲物を仕留める前に、自分の命散らすようなマネはしないさ……コルン、行くよ」
「わかった」
2人は私達のよこをすり抜けて行った。その背にあったのは、ライフルのケース。
「……あの2人はスナイパー。もう1人カルバドスっていうのもいるんだけど、ここには居ないみたい……彼、無口だから話すこともないかしらね」
しばらく歩いていくと、通路が分かれている。
「ジン、ウォッカ、この子は私が案内するから。また明日、ラムの……」
「わかってる。行くぞ、ウォッカ」
「あ、兄貴。じゃあベルモット、ここで」
さっさと歩いていく男達と反対側の通路へ進む。
『あの……』
「何かしら?」
『あなた達の名前……みんなお酒の名前ですよね?』
「……そうね。その事に関しては明日詳しく話してもらえるんじゃないかしら」
『明日?』
「貴女をここに連れてくるように言った人が説明してくれるはずよ。貴女をここへ呼んだ理由も、私達の組織のこともね」