第16章 再度4人……
「これは挑まなくて正解だな」
「……そのようですね」
透と大はそう言って矢を置いた。
『勝負はいいの?』
「あんなの見せられたら続けられませんよ」
「だよなぁ……もしかしてビリヤードもできたりする?」
その問いに頷いた。
以前ジンとウォッカに連れられて、こういった場所に行ったことがある。ビリヤードもダーツもことごとく負けて、それが悔しくてビリヤードはアイリッシュに、ダーツはキュラソーに教わった。しばらくの間、時間を見つけて練習していたらここまで腕が上がった。おかげでジンもウォッカも相手をしてくれなくなったのだけど……。
『部屋戻ろ』
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順番にシャワーを浴びて、あとは寝るだけ……なんだけど。
「もう少し起きてるだろ?」
ババ抜きしよう、と言って唯はトランプを取り出した。旅行じゃないんだから……と思ったけど有無を言わさずカードが配られてそれを手に取った。ババ抜きは苦手なんだよな……。
「お前が持ってるな」
『……持ってない』
「ならもう少しマシな顔したらどうだ?」
『……』
大の表情はムカつくけど実際にジョーカーは私の所にある。ババ抜きだけは顔の作り方がわからない。オマケにジョーカーが出て行ったかと思うとすぐに返ってくる。引きの悪さもあって……
『もうやだ』
始まってから全部ビリ。カードの山へジョーカーを投げると堪えきれないとでも言うように唯が笑い出す。
「はははっ……お前、弱すぎ」
『うるさい』
「普段みたいに表情作れないんですか?」
『……やってるつもりなんだけど』
「できてないから言われてるんだぞ」
『……』
「時間も時間だし、次で最後にするか」
『まだやるの……』
と、そこで電話がなる。こんな時間にかけてくるのなんて1人しかいない。
『ごめん、ちょっと待ってて……』
会話は聞かれたくないので、入口近くまで行って通話ボタンを押した。
「遅せぇよ」
『ごめん……何かあった?』
「いや……暇、だったから……」
歯切れの悪い言葉に口角が上がる。そんな理由で電話してくるジンが可愛く思えてしまう。
『ふふっ、そっか。明日には帰るよ』
「ああ……聞いて……」
ガシャン
何かが落ちた音と慌てたような声。
「……誰かいるのか?」
『えっと……』