第16章 再度4人……
『……なんであんなに怯えてたんだろ』
「さあな」
二手に分かれて私達は取引に行ったものの。あまりにも早く取引が終わって時間を持て余していた。
というのも相手のボスが異常に怯えていたことが原因で。私は初対面だったけど、何回か取引してる相手だって聞いてたから……何があったんだろ。
『報告の連絡入れてくる』
勧誘の2人からの連絡を待つ間にベルモットへ連絡をした。メールでもいいって言われてるけど、あの取引相手の反応が気になって。ベルモットなら何か知ってる気がした。
「Hi、ずいぶん早いのね。うまくいったのかしら?」
『うん、ちゃんと終わったよ。なんかすごく怯えてたから……』
「……ああ、ジンのせいよ」
『え、なんで?』
「今回連絡入れたのジンなんだけど、貴女に何かしたら……って脅してたから」
『……』
「愛されてるのね」
『そ、そんな関係じゃ……』
「それはどうかしら?貴女が思ってるより……っと、これ以上言うと怒られそうだから」
楽しそうなベルモットの声……近くにジンがいるのだろうか。
『じゃあこれで。明日帰るから』
「ええ。それじゃ」
あの日意識が途切れる寸前に聞こえた言葉。それについてジンに問い詰めてもはぐらかされるばかりで、結局その真意はわからないまま。でも、ベルモットの言い方とか……本当にそうなのかもなんて考えてニヤけてしまう。もちろん恋人ではないのだけど。
「何かいいことでもあったか?」
ライの声がしてハッとする。
『別に……何もないけど』
「その割にずいぶん顔が緩んでいるが」
『っ……気のせいでしょ』
「そうか……スコッチから連絡があったぞ」
『……わかった』
よっぽどこの車が気に入ったのか、当たり前のように運転席にライが座る。仕方ないので私は助手席に。まあ、ホテルの場所知らないし……今回は予約してくれたみたいだけど。
しばらくしてバーボンとスコッチと合流しホテルへと向かった。
「すみません、安室透で予約した者ですが……」
バーボンが受付をしている間、3人で話していたのだが……。
「そういや、お前黒羽亜夜っていうんだな」
『……言った覚えないんだけど』
「探偵だから!って言いたいけど、前回宿泊表に書いてるの見たんだ」
悪びれもなく言うスコッチ。ライは……明美に聞いてるだろう。