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【名探偵コナン】黒の天使

第15章 弁解と命令※


『……なんでそんな顔するの?』

ジンの頬に手を触れた。

「死んだかもしれねぇんだぞ」

『そうかもしれないけど……死んでないからいいじゃない』

「そういう問題じゃ……」

『じゃあ、貴方が撃たれるの黙って見てればよかった!?』

「……ああ、そうだな」

『ハッ……冗談じゃない』

そう吐き捨ててジンから手を離した。睨んだけど何の反応もない。

「二度と同じことはするな」

『無理』

「てめぇな……」

『死ななければいいでしょ』

「そういうこと言ってんじゃねえよ」

『じゃあ何?』

イライラする。こんなこと言いたいわけじゃないのに……ジンがそこまでこだわる理由がわからない。

「……とにかく、これは命令だ。勝手な真似すんじゃねえ」

『断る。納得できないわ』

「てめぇにその権利があると思うか?」

ジンの目付きが鋭くなる。それに対抗するように睨む。

『さあ……でも同じようなことがあれば何度でも……』

『女に守られる程ヤワじゃねぇよ』

『よく言うわ』

呆れて笑いが零れた。同時にイライラも大きくなっていく。

「てめぇが命を張る理由がねえだろ」

その言葉に我慢していたものが溢れた。

『好きな人のために命かけて何、が……悪い、の……』

思考が追いつかないまま出た言葉に慌てて口を抑える。ジンの顔を見れなくて俯いた。顔があつい……。

何てことを言ってしまったんだ……今更後悔しても遅いけど。ジンも何も言わないし。空気が気まずくて、この場から逃げたいけど体が動かない。

「……昨日も同じこと言ったな」

予想もしていなかった発言に思わず顔を上げそうになる。でも、ギュッと目を瞑った。

『嘘よ』

「こんなくだらねえ嘘つくと思うか?」

記憶がないから確かめようがない。いくら薬がまわってたからって、本当に私はそんなこと言ったの……?

『じゃあ忘れて……』

本心なのに、ジンのことが好きなのに……それを知られてしまうことがものすごく怖い。

「……都合が良すぎねえか?」

顎を掴まれて、無理矢理顔を上げさせられる。

「おい、目開けろ」

小さく首を振った。目を合わせたら全て見抜かれてしまいそうで。

ジンの舌打ちが聞こえ、諦めたのか手が離れていく。それに安堵できたのは一瞬で、すぐさま押し倒されて口を塞がれた。
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