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【名探偵コナン】黒の天使

第15章 弁解と命令※


聞こえた言葉に思考が止まる。亜夜は先程と同じく喘ぎ続ける。

本心なのか、薬に飲まれて出た言葉なのか。どちらにしても都合のいいように解釈してしまう。

「俺は……そんなもんじゃ足りねえよ」

この言葉も届くかどうかわからない。深いキスを落とした。全ての思いを込めて……直接伝えたくてもそれは叶わないのだから。

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空が明るくなり始める。

薬が抜けたのか体力が限界を迎えたのか、静かに寝息をたてる亜夜。そのままにするのは流石に気が引けて濡れタオルで身体を拭いた。この様子じゃ何も覚えてないだろう。自分はシャワーを浴び終え、ベッドに腰掛けた。

これからどうするべきか……。俺の近くに置いても遠くに離しても、こいつはその時周囲にいる者をどうにか危険から離そうとする……きっと以前の組織でやっていたことが抜けきっていないのだろう。自らを犠牲にして何かを守ろうとする感覚が。

―それって私がいなければ、ジンが撃たれてたってことでしょ?いいよ、気にしなくて……

亜夜があの時平然と言った言葉。自らが傷つくことを何とも思っていない。その考えがある限りこいつは変わらない。

それなら……亜夜自身を犠牲にしては守れない約束をさせればいい。いや、約束ではなく命令と言った方が正しいか。言葉で縛りつければ距離なんて関係ない。最終的に俺の元へ戻ってくるようにすればそれでいい。

だが、この身体を好きな時に抱けなくなるのは困る。今までで最高の相性なのは言うまでもない。それはどう繋ぎ止めようか。

近くなった距離を無理矢理離した代償は、思いの外大きいらしい。俺から言ったことだから尚更。元に戻すにはかなり苦労しそうだ。

以前より近い関係になるつもりはない。俺と亜夜はあくまで都合のいい関係。仮にあの言葉が本心で、互いの思いが同じだとしても恋人同士にはならない。

ほんの少し……本当に少しだけ、この世界に入ったことを後悔した。

寝息をたてる亜夜の隣に横になった。小さく開いた唇に軽くキスをする。

こいつには聞かなきゃならねえことがたくさんある。それに……まだまだ抱き足りない。薬でぶっ飛んでるのも悪くはなかったが……嫌がりながらも快楽に溺れてくこいつの方が好みだ。

「……起きたら覚悟しとけよ」
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