第13章 帰宅と再開と……
『志保?もうすぐつくよ』
アジトへの道を歩きながら電話をする。
「思ったより早いのね」
『大丈夫?1回自分の部屋寄るつもりだけど』
「大丈夫よ」
『それならよかった。またあとで』
自分の部屋は正面より地下を通った方が早い。あの扉を開けるまでがながいけど……。
『さて……』
扉の前に立つ。解除しようと手を出した……と同時に向こう側から開かれる。
「マティーニ、帰ったんですね」
出てきたのはウォッカ。ジンの迎えだろうか。
『うん。ただいま。どこ行くの?』
「これから……」
「そこで何してる」
聞こえた声に驚く。
「あ、兄貴……すみません」
『ジン……』
ジンは私の姿を見て若干目を見開いたがすぐ逸らされる。
「……行くぞ」
「はい、それじゃあまた」
何も話さないまま行ってしまった。モヤモヤしながら一度閉じてしまったドアの解錠を始めた。
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志保のラボについてドアをノックする。
『私。入ってもいい?』
「どうぞ」
「亜夜、早かったね」
『明美?いたのね』
「私が呼んだの。3人で会う機会なかなかないし」
『確かに……明美とも会えてなかったよね』
「ごめん……ホントは亜夜にも会いたいんだけど……」
『本当に好きなのね』
最近は時間があるとライに会っているようで、こちらから誘っても先約が……と言われることがある。
「お姉ちゃんのタイプってあんな感じなのね。会った時驚いたわ」
『ね。私も思った』
「2人とも……大君すごくいい人だよ」
嬉しそうに微笑む明美。
「幸せそうでなにより」
『それはそうと……電車のこと話したのね?』
「ごめん……話題が盛り上がった時に……」
『もう……ちょっとは気にしてよ』
「気をつける」
そう言われてしまえばそれ以上は言えず……自分もこの2人には甘いなと思う。
時間はあっという間に過ぎていく。
「あ!あの時の傷!」
『傷?』
「撃たれたって時の!大丈夫なの?!」
そういえば、あの日以降ちゃんと会うのは初めてだった気がする。電話とかしてたから忘れていた。
『跡は残ってるけどもう問題ないよ』
「ホントにあの時は心臓止まるかと思ったんだから!」
「すごく心配したのよ……本当に無事でよかった」