第1章 出逢い
「親には話したのか?今までの事」
「ううん、まだです。父はもう亡くなってて、母はいますけど…心配かけたく無いし…」
「そうなのか。だが話せるなら早めに話したほうがいい」
「………」
「親には…心配掛けたっていいんだ」
たとえ母親だけでも生きているのなら、尚更伝えてやってほしいと俺は願った。
俺にはもう、それすら出来ないから…
花里は暫く考えた後、心が決まった様にうん!と一回頷いた。
「分かりました、話してみます。なんか…ちょっとスッキリしました。冨岡さんとお話しして、気持ちが軽くなった気がします!」
「それは良かった」
最初はどうなる事かと思ったが、宣言通り気持ちが軽くなったからだろう。
表情が明るくなっている。
にこっと笑う花里はいい笑顔だと思った。
「そっちの方がいい」
「え?」
「泣いてる顔より、笑った顔がよく似合う」
花里の顔は真っ赤だった。
どうしたのだろうか。
「熱があるのか?早く家に帰った方が…」
「ちっ…違うんです大丈夫ですよ⁉︎」
「そうか。……少し暗くなってきたな」
「そ、そうですね!そろそろ帰りましょうか!」
何を焦っているのだろうか。
よく分からないが、まぁいいかと気にしない事にした。
「家は近いのか?」
「うちキメツ学園の近くなんです」
家近かったのか。
「俺もキメツ学園の近くだ。家まで送る」
「えっ、そうなんですか!じゃあ、お願いします!」
その時、丁度ホームに電車が到着し、2人で乗り込んだ。