第7章 新しい友達
あの子、追いかけて来たりしないかな。
後ろを気にしつつ、屋上へ向かって廊下を進んでいく。
夏休みに校長先生に校舎の中を案内してもらった時に、屋上の行き方も一緒に教えてもらっていた。
確かここの階段から行けるんだよね?
見つけた階段を上まで登っていくと、あの時見た鉄の扉。
うろ覚えのまま進んで行ったけれど、ちゃんと辿り着けた。
良かった。
少し錆び付いた扉をギィ…っと開けると、目の前に広がる青い空。
前へ足を進めると、ふわっと秋の風が頬を撫でる。
外の空気は気持ちがいいな。
辺りを見渡してみたけれど、ここには誰も来ていないようだ。
息抜きにここまで来たりはしないんだなぁ。
皆仲が良さそうだった。
お昼は一緒に食堂へ行ったり、お弁当を食べたりするんだろうな。
そんな付き合いが出来る友達が、私に出来るのだろうか…
淋しい事を考えてしまった。
これじゃいけない、もうちょっと頑張らないと。
落ち着こう。
転落防止用のフェンスの下に丁度ベンチが置いてあったので、一旦そこへ座ってみる。
…
あぁ、私1人なんだなぁ…
昨日義勇さんに元気をもらったのに、もう充電が切れてしまいそうだ。
昨日がすごく楽しくて、出来るなら、時間を巻き戻したい。
昨日の楽しかった自分に、戻りたい…
そんな事を考えていたら、もう手は勝手に動いていた。
ポケットからスマホを出して、連絡先を探す。
名前を確認して、一瞬躊躇して…。
押してしまった、通話ボタン。
何回目かの呼び出し音の後、
『はい、もしもし』
…あ、繋がっちゃった。
どうしよう、何も考えてなかった。
「もしもし、えっと…こんにちは義勇さん」
『あぁ、昨日ぶりだな』
「そうですね、すみません昨日の今日で」
『俺は構わない。今は…昼休みか?』
「はい。それで、ちょっと屋上に来てて…」
『…そうか』
「……」
『柚葉?』
聞いてもらいたい事あるのに、何て言ったらいいのかな。
ずっと黙ってたら困っちゃうよね。
でもなんでだろう、言葉にならないんだ。
『言いたくないならそれで構わないのだが』
「はい…」
『…何かあっただろう?』
なんで分かるんだろう。
聞いてくれるの、嬉しいな。
義勇さんの声聞いたら凄く安心して、頭の中ぐちゃぐちゃだけど、もうこのまま話してもいいかなって思えた。
