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君に出逢えて、恋をして 【鬼滅の刃 冨岡義勇】

第5章 あの時…


「お前達は何しにここへ来た」

「貴様が察しろ」

「……」


察しろ、とは…俺の不得意とする分野である。
ましてや夢の中の話。
分かるわけがなかった。
どうやら俺には絶対に教えたくないらしい。
しかしこれでは現状が全く把握出来ない。
伊黒からは蛇のように鋭く睨まれるし、甘露寺はずっと泣いてるし…
どうしたものか…

話が一向に進まない。
その時、


「……ぁぁあの!」


耐えかねたのか、ついに花里が意を決したように俺たちの間に割って入った。


「冨岡さん何も知らないみたいなので私が説明します!」


「いいですよね⁈」っと伊黒に許可を求める花里。
伊黒は「はぁー…」っと深いため息を吐いた後、「分かった」と一言。
何故伊黒の許可がいるのだろう…
細やかな疑問だが、今の状況を説明してもらえるのはありがたいのでそこはもう黙っている事にした。


「2週間くらい前なんですけど、蜜璃ちゃんと水族館に行こうって話してたんです。それで、じゃあ冨岡さんも誘おう!って話になりまして。連絡は蜜璃ちゃんがしておくって言ってくれてたんですけど…。どうやらしてなかった、というわけです」

「…大体分かった」


何故そこで俺も誘おう!になったのかが最大の謎なのだが…。

しかし誘っても良いと思ってもらえた事は普通に嬉しい。

そして伊黒が俺が一緒に行く事を許した事に驚きだが、きっと甘露寺からのお願いが故拒否出来なかったのだろうと予想出来た。


「急に言われても困りますよね。ごめんなさい…」

「いや、お前のせいでは…。だがすまない。今日は午後から予定が入っているんだ」

「そうですよね…、分かりました。急に来てすみません。また今度誘ってもいいですか?」

「構わない。その時はちゃんと予定を空けておく」

「はい、ありがとうございます!…じゃあ、また」


無理に作ったような笑顔を見せた後、いまだに泣いている甘露寺に声を掛ける。
「ごめんねぇ」と謝る甘露寺に「いいよ」とよしよし頭を撫でてやる花里。
どちらが年上なんだか…
そのまま2人は先に歩き出した。


「貴様、蜜璃を泣かせた罪は重いぞ」


俺に捨て台詞を吐き、伊黒も2人の後に続いて行ってしまった。

元はと言えば、お前の彼女のせいなんだが…

そんな文句が出かかったが、口に出さずに飲み込んだ。
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