第3章 再会
「錆兎、今日予定していた激励会とやらだが…」
「あー、あれね。また次でいいよ。それよりさ…」
俺たちの将来がかかっているような気がするんだが…
それより大事な事があるのだろうか。
「あの後来たのか?」
「ん?……あぁ、来た」
なんと、俺の話だった。
「気になるのか?」
「そりゃなぁ。掃除だけしてすぐ帰ってさ、あの後どうなったのかとか多少は気になるだろ?」
すぐ帰ってしまったのは錆兎の方ではないか。
と思ってしまったが、掃除もさせたし準備もしてもらったので、錆兎には知る権利があるような気がした。
「向こうのプライベートもある。内容は話せないぞ」
「あぁ、それは分かってるよ。で、どうだった?」
そんな、漠然と聞かれても。
強いて言えば…
「…楽しかった」
「楽しかった⁈」
「…なんだ」
「いや!なんて言うかさ…。へぇ、あの義勇がねぇ」
あの義勇とはどの義勇の事だろうか。
俺はそんなに沢山いるのか?
よく分からないが、話を続ける事にした。
「俺はあの時話を聞いてやっただけだが、あの子は前に進む決意が出来たようだ」
「そっか、話全く分からないけど…。良かったなぁ。その子は義勇に救われたんだな」
「俺は何もしていない」
「人に話を聞いてもらえるだけでも嬉しい時ってあるだろ?その子はきっと義勇に心を救われたんだよ」
「それならば、良かった」
あの時少々強引だったかと心配だったのだが、それで良かったのだと思えて安心した。