第3章 再会
「…また会えるように」
「ん?」
「連絡先を交換しておいた」
「おぉ!へぇ〜そっかそっかぁ!良かったなぁ義勇!」
等と言って錆兎が俺の頭をがしがしと撫で回す。
時々こうして錆兎は俺を弟扱いするのだ。
「やめろ錆兎」
「はは、はいはい。…義勇、気持ちは楽になったか?」
「?」
「さっき義勇が来た時思ったんだ。前より表情が明るくなったなぁって」
四十九日も終わって落ち着いたところだったが、まだ心のどこかで引きずっているような感覚が残っていた。
だが言われてみれば、前より気持ちが晴れたような気分だった。
…そうか。
花里から、俺も救われたのだろうな。
そして、錆兎は俺の事を良く見て気付いてくれる。
錆兎にも俺は救われているのだ。
「ふぅん、柚葉ちゃんか…。なぁ、どんな子なんだ?」
「どんな子…」
暫し考え…
「…内緒だ」
という結論に達した。
「ぇえ!教えてくれないの⁈」
「なんでだよ!」と錆兎に文句を言われたが、さっき錆兎が「柚葉ちゃん」と呼んでいた事にどうしてもモヤッとしてしまったので、細やかな意地悪をしてみた。
暫くして花里が時々家へ来るようになったので、結果2人は友人になったのだが。
錆兎は他人とすぐ仲良くなれる。
いつもすぐそばで見ているのだが、なかなかその術を習得出来ない。
やはり俺には難しいようだ。
そして錆兎が上手く誘導し、いつの間にか俺よりも先にお互い下の名前で呼び合うようになっていた事に、俺が嫉妬してしまう…
という未来が待っている事を、この時の俺は知る由もなかった。