第3章 再会
「母に、今までの事全て伝えました。やっぱり泣かれちゃいましたけど、今の状況を整理できるいい機会だったと思います」
「ちゃんと、言えたのだな」
「良かったな」と言うと、花里は嬉しそうにこくっと頷いた。
「はい。それで、あの学校にはもう戻りたいと思えなくなってたので、思い切って転校する事にしました!」
「そうか。…因みに何処へ行く事にしたんだ?」
「キメツ学園です!」
なんと。
「俺は…そこの卒業だ」
「そうなんですか!じゃあ私冨岡さんの後輩になれますね!」
可愛い後輩が出来た。
内心喜んでいた、のだが。
「冨岡さん、伊黒さんと高校も一緒だったんですね!」
「……」
伊黒の名前が出てきた途端、またモヤッとしてしまう。
今日の俺はどうかしてるな。
「学校は行けそうか?」
「頑張ります!馴染めるか心配ですけど…」
暫く行けていなかったと言っていた。
俺もそこは気になるところだったが、前へ進む覚悟が出来たのだ。
新しい場所でもやっていけるだろう。
「花里なら、大丈夫だ」
こんなありきたりな言葉しか出て来なかったが、花里は「ありがとうございます」と素直に受け止めてくれた。
しかしまだ少し不安そうな顔をしていたので、
「安心しろ。あそこはそんな怖いところではない」
と、ついよしよしと頭を撫でてしまった。
すると、先程のようにまたぽっと赤くなって固まってしまう花里。
今日の俺は、色々と間違えている気がする…
「顔が赤いが、大丈夫か?」
「だだだ大丈夫です!」
「…そうか?」
なんだか大慌てだが。
元気そうだから大丈夫か、と思う事にした。
そう言えば、今は何時だろうかと壁掛け時計を見上げると、もうそろそろ12時になろうとしていた。
「わ、もうこんな時間!」
「そろそろ帰るか?」
「午後から用事があって」
「そうか、玄関まで送ろう」
「ありがとう……あっ!」
何かを思い出したそうで、突然バッと立ち上がる花里。
慌ただしい娘だ。
「どうした」と見上げてみれば、
「冨岡さん!」
「なんだ」
「よろしければ…」
「よろしければ?」
「連絡先交換しましょう!」
「それは…」
大変良い考えだ。