第3章 再会
「妹じゃないなら…甘露寺さんの方じゃないか?兄弟いただろ?」
「甘露寺は下にいるが、確か弟だ」
初めて会った時に自己紹介をされ、家族構成まで教えてくれた。
ものすごく喋る元気な子だと思った。
俺はずっと黙って聞いているのが精一杯だったのだが、「何か返事をしろ」と伊黒に怒られたのだった。
「あぁ、そっか。ん〜、分からないものを考えても仕方ないな。来たら聞いてみよう!」
「そうだな」
ん?
と言うことは、錆兎はこのままここにいるつもりだろうか?
「よし、来るまでに掃除だ!」
「あぁ」
「俺がリビング掃除しておくから、義勇は玄関掃いてきてくれ!」
「…助かる」
ここ、俺の家なんだが…
家主の俺に代わり、掃除機を出してきてテキパキとリビングの掃除を始める錆兎。
俺の家のどこに何があるのかも大体把握しているのだ。
勝手知ったるなんとやらである。
「どちらが家主か分からんな」
などと独り言ちると、俺は言われた通り玄関の掃除へと向かうのだった。
「おーい、義勇ー!」
「なんだ」
「何時に来るか聞いたか?」
「…聞いてない」
「そこも聞いてないんかい!」
「今日は暑いから麦茶でいいよな。お茶菓子はこの間煉獄がお土産でくれたヤツ入れといたから。来たらこれ出すんだぞ?」
リビングの掃除を終わらせた錆兎は、ご丁寧に来客用の準備までしておいてくれた。
俺が色々とあり過ぎたせいか、最近錆兎が母親化してきている気がするのは気の所為だろうか。
…もっと頑張ろうと思った。
見ると、用意されていたコップは2つ。
「2つでいいのか?」
「ん?」
「コップ」
「義勇とあの子の分でいいだろ?」
……そうか。
「帰るのか?」
「え、帰るだろ?いると思った?」
「思った」
「いや、そこまで図々しくないから!それに俺いたらビックリするだろ?」
いるもんだと思っていたのでちょっと拍子抜けしたが、それもそうかと納得し、帰ろうとする錆兎を玄関まで見送りに行く。