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君に出逢えて、恋をして 【鬼滅の刃 冨岡義勇】

第1章 出逢い



花里の笑っている顔を見ていると、俺の気持ちが穏やかになる。
からっぽになった心が、温かいもので満たされていくようだ。

それと同時に、俺は不思議な感覚に襲われる。

今日初めて会ったはずのこの女の子の笑顔が、何故だかどこか懐かしい…

そんな風に思っていたら、身体は勝手に動いていた。


「冨岡…さん…?」

「…何故だろうな、撫でたくなった」


本当に、何故だろう。
こうする事も不思議と懐かしく感じている。

おかしいな…初めて会った気がしない。
俺は本当は、この子を……
……知っている…?

いや、まさかな。


大人しく頭を撫でられている花里は、気持ち良さそうににこにこしていた。
なんだか猫みたいで可愛いので、なかなか撫でる手を止められない。


「さっきも言ったが、そうやって笑ってる方がいい」


俺がそう言うと、急に花里の顔がぽっと赤くなった。

思った事をそのまま口に出しただけなのだが、どうしたのだろうか。


「顔が赤い…やっぱり熱があるんじゃないか?横になった方が…」

「え⁈あ…大丈夫です!風邪とかじゃなくて…暑くて!最近は5月からもう暑いですからね!」

「そう…か?」

「そうです!温暖化です!」


何かを激しく誤魔化す花里に俺は首を傾げるが、具合が悪いわけではなさそうだ。
そうか、温暖化かと納得し、それ以上追求するのはやめた。


「冨岡さん、聞いてください!私オムライスの玉子を包むのできるようになったんです!」

「ほぉ、それはすごいな」

「フライパンをね、こうやってフンッ!てやるんです」

「そうか、それは見てみたいものだな」

「今は無いので感じてください!」

「…承知」


慣れてきたのか、花里の方からも少し話をしてくれるようになった。
女の子との会話が楽しいと感じたのは初めてだ。
もう少し聞いていたい。
それに、この子の隣は居心地がいい。



そんなふうに思いながら、残りの数駅、俺は花里とのお喋りを楽しんだ。

薄暗かった窓の外は、いつの間にか真っ暗になっていた。

窓の外に点々と光る街灯や民家の明かりが勢い良く通り過ぎていった。




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