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君に出逢えて、恋をして 【鬼滅の刃 冨岡義勇】

第1章 出逢い


お互い喋り出さないので、沈黙が続いている。

しかし、待てど暮らせど喋り出さない花里。
これはもしや、俺が話し出すのを待っているのか?

ならばここは、年上の俺が頑張らねば。

だが何を話せば…
女の子と一対一で話をするなんて、考えてみれば人生初だ。

どんな話題で盛り上がればいい?
いや、まず俺が話したところで盛り上がるのか?

時々チラッとこちらを見上げる視線。
あぁ、やっぱり待っていたのか。
待ってくれ、今お兄さん頑張ってるんだ。

何でもいいのだろうか。
だが何でもだと範囲が広すぎる。
そうだ、最近の事にしよう。

最近……
だめだ、別の事にしよう。
最近の事は…辛過ぎる…

ならば、これはどうだろうか。


「松ぼっくりを水につけると…閉じるんだ」

「……ブッ…⁈」


その時、ちょうどペットボトルの水を飲む所だったらしく、花里は口に含んだ水を盛大に噴き出した。

そんなに面白かっただろうか。
はたまた呆れてしまって勢い良く出たため息なのか。
どちらにせよ、飲み終わってから話し出せば良かったな。
気遣いが足りなかったと反省した。


「大丈夫か?さっき渡したハンカチで拭くといい」

「はい、拭かせていただきます!そして洗って返します!」

「そのまま持っててくれても構わないが」


なんなら捨てても構わないと言うと、「勿体ない!お返しさせてください!」と凄まれ、そのハンカチは洗われるため花里のポケットに仕舞われた。
律儀な娘だ。


「で、何でしたっけ?松ぼっくりですか?」

「あぁ、松ぼっくりの話だ…どうした?」

「…いえ!何でもないです!続けて下さいっ…フフッ…」


どうしたのだろう。
心なしか身体が小刻みに震えているような。

不思議に思ったが、話出さない俺に花里は「どうした?」と視線を送ってくる。

そうだ、続けて下さいと言われたのだったな。
こんなどうでもいいような(俺は意外と感動したんだが)話を聞いてくれるとは、なんていい子なんだ。

ならばきちんと最後まで話してやらねばと、俺は一生懸命話をした。




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