第74章 忍界大戦7
「夜明けだ。」
鶴丸と薬研は鎮痛な面持ちで朝日を迎えた。
上には木の蔓に巻き取られたレンが吊られている。
こんなことになるなんて…、と泣きたい気持ちで2人はそれを見る。
何度か木の蔓や幹を切ってレンを救い出そうと試みたが、切っても切っても次々と木の蔓が湧いて出てきて、一向にレンを救い出すことが出来なかった。
鶴丸が一度、怒りに任せて大技で以って太い木の枝に斬りかかるも、丈夫な上に回復が早く、とてもじゃないが切り落とすことは出来なかった。
「…行こう。」
薬研が鶴丸を促すが、彼はレンを見たまま動かない。
「夜明けを待って、状況が変わらなかったら本陣に行く。そう決めただろ、旦那…。」
「あぁ…。そうだな。」
鶴丸は、地団駄を踏みたい思いだった。
だが、それは薬研も同じ。
彼は後一歩のところでレンを攫われてしまったのだから。逃げて、と呟いたレンの言葉までしっかりと聞こえていた。
悔しい。
2人の中に、ただそれだけが満ちている。