第84章 新たな拠点、新撰組
「ど、どうする…?」
「どうするって…どうしましょう…?」
答えが出せないまま、彼らは再びその子の方を向いた。
すると、その子はおいでおいでと手招きをしだした。更にその向こう、つまり進行方向を指差したのだ。
誘われている、その事実に鳥肌は立つものの、指を指すその向こうに何があるのかと気にはなる。
「…ねぇ、ここで引き返そうよ。」
乱は気味悪そうに顔を顰めながらレンに言うが、彼女は乱ほどは気味悪く思っていなかった。
「多分ですが…、あの子は大丈夫です。」
何故なら、あの子の輪郭をなぞる様に清浄の気が湛えられているから。
レンにはそれが見えている。
「え、どういうこと?」
「そのままの意味です。あの子は邪神とは対極に当たるモノだと思いますよ。」
レンはそう言いながら、クナイを元に戻した。
それを何とも言えない顔で乱は見る。
「さて、これこそ”やってみなきゃ分からない”だと思うのですが?」
「”行き当たりばったり”はごめんだよ?」
「”危ない橋も一度は渡れ”とも言えますが?」
レンが肩をすくめながら少し笑うと、乱は長いため息をついてジト目で彼女を見上げる。
「…止めてもダメそうだね?」
「分かってるじゃないですか。」
レンはそう言ってにっと笑った。