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君に届くまで

第74章 忍界大戦7



明朝。木々の間を縫って届く光がレンとリヨクの目覚まし時計だ。
2人は洞穴から出て、澄み切った空にかかる朝焼けを見上げる。


「今日は薬草摘みの方を片付けるか。」

「そうだね。晴れてる日の方がたくさん摘める。」

2人は簡単に朝の支度を済ますと、竹で編んだカゴを持って群生地へと出発する。


薬草の依頼は3件。
量はまちまちだが、採れる場所が違うので、その分歩く距離は長くなる。

結局、帰って来れたのは夕方近く。
一日掛の仕事となってしまった。

「俺が売ってくるからお前はここにいろ。」

「分かった。」

リヨクはそのまま出かけてしまう。

記憶とは少し違うけれど、リヨクがいる日常は心地よかった。
レンは、安らぎを感じていた。

ーあぁ、やっと。
 やっと、楽になれる。

けれど、街にいた人達を思い出す。
何処かで見た。
しかし、何処で見たのか思い出せない。
いや、見ただけでなく、もっと親しかった気がした。
そう思うと、胸がざわざわとして落ち着かなくなる。

暗くなっていく空を見上げながらレンは懸命に記憶を探った。
けれど、上手く思い出せない。

こことは違う、何処かの建物の中だった気がする。
一緒に何かをしてたことが多かったような気がする。

すぐそこまで出かかってるのに出てこない。


「ただいま。」

リヨクの声がして、思考が霧散した。

「おかえり。どうだった?」

「いつも通り売れたぞ。あそこが良心的で一番いいよな。」

リヨクはそう言って笑う。

「あ、そうだ。お前に預かり物があるんだ。」

「預かり物?」

「あの白い袴の男からだ。」

そう言って手の平位の箱を渡される。
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