第74章 忍界大戦7
街を少し外れた所まで無言で歩いて行くと、屋台が出ていた。
“肉まん”と書かれた看板の通り、中からはいい匂いが漂ってくる。
看板の側で、呼子をしている人がいた。
一見女の人のように見えるその声は、紛うことなき男だ。
「美味しい美味しいまんじゅうだよ〜!寄っといで〜!」
黒髪を高く後ろで結い、水色の大きな丸い目はとても印象的で可愛いらしい。
近くで見れば見る程、顔立ちだけは女の子である。
実に紛らわしい。
レンとリヨクは匂いに釣られて立ち止まる。
すると、中の方からもう1人出て来た。
黒髪のショートカットの青年だった。
蠱惑的な顔立ちの赤目が印象的な綺麗な人だ。
中性的で男か女かはっきりしない。
「いらっしゃ〜い。何にする?」
「え…?肉まん一択じゃないの?」
リヨクは思わずといった様子で突っ込んでいた。
男だったのか、とレンは心の中で呟く。
「ほら〜。看板に肉まんなんて書くから〜。」
「え〜。だって何のお店か分かりやすいじゃん。」
「でも、肉まんしかないかと思われがちじゃん。」
「オススメが肉まんなんだからいいじゃん。」
「そういう問題?」
何だか今にも言い合いが始まりそうな勢いに、リヨクとレンは唖然と佇む。
「あ、ごめんごめん。」
青目の青年が気づいて、レン達に謝罪する。
「注文は何する?看板の通り、うちオススメが肉まんだけど他のもあるよ。餡子、春雨、チーズカレーも揃ってる。」
それを聞いて、2人は顔を見合わせる。