第74章 忍界大戦7
「…どうも。」
リヨクは少し警戒しながら答える。
レンもそれに倣って少し下がりながら会釈した。
男達のその目を見て、先程行った引合せ処の者達を思い出す。
あの2人も同じ黄金色の瞳だった。
「お。その紙うちのだよな?いつもご贔屓に。今日はもう帰るのか?」
袴姿の男がリヨクに笑いかけた。
その朗らかな笑顔に、また何とも言えない思いがレンの胸を占める。
レンは知らず知らずのうちに、その男を見つめていた。
袴姿の男は、その視線に気づくとレンを見つめ返す。
「ん?どうしたんだ?」
こてん、と少し首を傾げたその仕草が、妙に既視感を覚えるものだった。
レンは複雑そうな表情を浮かべながら、何か言おうと口を開いては閉じるを繰り返す。
「悪いな。こいつ昨日頭を打ってからちょっと様子が変なんだ。気にしないでくれ。」
リヨクが少しレンの腕を引いて答える。
「え、そうなのか?そりゃ一大事じゃないか。大丈夫なのか?」
「変なら医者に診て貰った方が良くないか?」
リヨクの言葉に、袴姿の男と青い髪の男の子が心配そうな表情を浮かべた。
その表情を見て、レンの脳裏に”過保護”という言葉が浮かぶ。
ーまさね、ただの社交辞令だ。
本気じゃない。
「大丈夫です。ありがとうございます。」
レンは形式通りの言葉を返す。
それを聞いた2人は互いの顔を見合わせた後、まじまじとレンを見る。
「違和感を感じたら迷わず言うんだぞ。」
「俺達も良い医者を探すからな。」
その真剣な瞳にレンは思わずたじろいだ。
「ど、どうも…。」
「もういいだろ?ほら行くぞ、レン。」
リヨクはレンの手を引いてさっさと歩き出す。
「またな〜!」
「無理すんなよ〜!」
後ろから声がかかり、レンは手を引かれながら振り返る。
人混みでどんどん見えなくなる2人は、姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。