第74章 忍界大戦7
段々と意識が浮上して、レンはゆっくり目を開けた。
空は宝石を散りばめたかのような、満天の星空だ。
リーンリンリン… コロコロコロ…
何故か、虫の声が辺りから聞こえてくる。
草は生い茂り、緑の匂いが肺いっぱいに広がる。
「やっと起きたか。」
その声に、レンは弾かれるように起き上がる。
そこには、生前そのままのリヨクが焼いた肉を頬張っていた。
「な、んで…。」
あまりのことに、レンは言葉を詰まらせた。
ーどういうこと?リヨクが生きてるなんて…。
目の前のことがあまりにも都合が良すぎる現実で二の句が継げない。
いや、現実かどうかも怪しいとすら思う。
自分は今、何かの幻術にでもかかっているのではないか、と。
レンが呆然とリヨクを見たまま動かないのを不審に思ったのだろう。
彼は、立ち上がってレンの側まで来ると、しゃがみ込んでレンの額に手を当てた。
「…熱、じゃないのか。…昼間頭を強く打ちすぎたのか?」
ぶつぶつと呟きながらリヨクはレンの頭を前後左右に揺らしながら怪我を確かめている。
「なんだ、何もないじゃないか。お前、態とボケてるのか?」
レンは、訳が分からず困惑したまま首を傾げると、リヨクから怪訝な顔で返された。
「昼間、狩りで鹿を追いかけてる時に、足を滑らせて頭打っただろ。本当に覚えてないのか?」
そういえば昔、一度だけそんなことがあったような気がする、とレンは思い出す。
けれども、それはあくまで昔の話だ。
何故今、それを追体験しているのだろうか…。
レンは答えに窮して言葉を詰まらせる。