第73章 忍界大戦6
シカクから兵糧丸を受け取ったレンは、もぐもぐとゆっくり食べ進める。
だが、いくら時間をかけて食べても回復の兆しは見られない。
それどころか時間と共に、更に体から力が抜けていく。
レンは思わず顔を顰めた。
「…良くならないのか?」
薬研がレンの様子に気づいて声をかけると、彼女はこくりと一つ頷いた。
「力が戻ってきません。」
薬研はそれを聞いて、口元に手を当てて考え始めた。
審神者は本丸と繋がっている。
それは、本丸をはじめ刀剣には神気が必要だから。
安定した神気を供給する為、そして神気により邪気を祓い易くする為、審神者は主従の契りを交わす際には本丸に魂が繋がれる。
つまり、”気”の回復をするには本丸に戻る必要が出てくる。
だが、レンがいるこの場所は、本丸からは遥か遠く離れた異界。
「もしかして、本丸から離れてるから回復出来ないのか?」
薬研の言葉に鶴丸が瞠目する。
「…もしかすると、もしかするかもしれない…。」
レンは益々顔を顰めた。
「いやいやいや!事は一大事じゃないか!?」
鶴丸は慌てふためいた。
「薬研の言うことが本当なら、レンはこのまま回復出来ないと言うことだろう!?」
「そういうことになるな。」
薬研もいよいよ顔を顰めた。
レンに神気が戻らなければ、おそらく死んでしまう。
そして、彼女の神気で動いている彼等は、そう遠くない未来には消えて無くなってしまう。
レンは少し俯いて逡巡した後、再び顔を上げた。
「ちょっと試してみましょうか。」