第73章 忍界大戦6
「…鶴さん、鶴さん。」
レンは鶴丸の体を揺する。
見たところ大きな怪我はなさそうだ。
鶴丸はすぐに目を覚ましてレンを視界に捉えると、にっと笑った。
「出来たぞ。」
「格好良かったです。」
レンも穏やかに笑う。
「何事もやってみるものだな。」
「案ずるよりも産むが易し、ですね。」
「出来ればもっと安全な状況でやりたいものだな。」
ぶっつけ本番はもうごめんだ、と鶴丸は心の中でごちた。
「咄嗟の状況だからこそやり易かった、と言う考えもありますが。」
レンは揶揄いを含んだ声音でとんでもないことを言う。
案の定、鶴丸は顔を引き攣らせた。
「…鬼か、キミは…。」
「冗談ですよ。さて、私は薬研を見てきます。」
レンは立ち上がると、薬研の方へ歩いて行った。
その後ろ姿を見ながら鶴丸は思う。
冗談なのか本気なのか分からない…。
薬研を起こし、3人で鶴丸が弾き飛ばしたモノの痕跡を見に行った。
そして、爆心地の淵に立ち、3人は呆然とする。
「…俺、跳ね返した筈、だよな…。」
「跳ね返してましたね…。」
「…それでこんなに抉れるものなのか…?」
そこには大きく窪み削れた大地があった。
「…これ、無傷だったのが奇跡的と言えません?」
正確に言えば無傷ではないが、3人とも大きな怪我は無い。
この大きく平らな広場が、今や見る影もなくボコボコのガタガタ状態なのを見ると、五体満足で今ここに立っているのが嘘のようだった。
3人は思わず震え上がり、身を寄せ合った。
「「「こわっ…!」」」