第73章 忍界大戦6
「だがもし…」
「もしダメだったらその時はその時です。運がなかったと諦めましょう。」
レンは柔らかく笑う。
「大丈夫です。一度出来たんですから。自分を信じてください。」
レンは出し惜しみする事なく、チャクラが空っぽになる手前まで注ぎ込んだ。
「見えたぞ!」
薬研の叫びに、レンと鶴丸は上空を見上げた。
赤黒い大きな塊がとてつもない速さで飛んでくる。
「お願いします…!」
「…あぁ!」
鶴丸は抜刀し、駆け出した。
ーレンを死なせない!!
身の内に溢れんばかりに湛えられた神気を、怒気にも似た強い想いで膨れ上がらせる。
「でやああぁぁぁ!!!!」
ザン!!!!
鶴丸が刀を振り抜くと、風を切るような大きな音と共に、爆弾が弾き返された。
と、思った次の瞬間。
ドオォォォン!!!!
逆噴射するように、爆弾が爆発した。
「どわ!」
最前線にいた鶴丸は、堪らず爆風で後方に吹き飛んだ。
「鶴さん!」
レンが気づいて助けに回りたかったが、自身も吹き飛ばされて身動きが取れない。
体がぐるぐると回転し、前後不覚になる。
ガン!!
体を何かに強く打ちつけた。
と思ったら、そのまま落ちてしまう。
レンは痛みで強張った体を何とかして動かし、着地を試みた。
ドカ!!
結果、足から着地は出来なかったが、何とか受け身は取れた。
レンは、強張った体を必死で動かして起き上がる。
ー鶴さんは?
薬研は?
レンは辺りを見回すと、そう遠くない場所に2人が倒れていた。彼女の両側に、離れた位置に倒れているので同時には見れない。
迷ってから、鶴丸の方を先に見に行くことにした。
歩いていく途中で、自分がぶつかった壁を見上げる。
本部の建物だった。
上の方に3つの大きな窪みがある。
状況は皆同じと見た。