第73章 忍界大戦6
その時、レンはぶわりと嫌な気配を向けられたような錯覚を覚える。
その瞬間理解する。
直感であるが、確実に起こる未来だと断言できる。
自身の血の気が引いていくのが分かった。
「…次の一発は確実にここに来ます。」
その言葉に2人は息を呑む。
レンは必死に考えを巡らした。
ーどうする。
どうしたらいい。
その時、瞬間的に演練での鶴丸の斬撃が脳裏を過った。
一振りで地面を抉るほどの強烈な一撃。
ーこれしかない…!
「鶴さん、お願いがあります。」
レンは鶴丸に詰め寄った。
鶴丸の中に嫌な予感が走る。
「あの爆弾を斬って弾き飛ばしてください。」
「無茶言うな!!」
鶴丸はやっぱり!と言わんばかりに髪を掻きむしった。
「出来るわけないだろ!何をもって俺が斬れると思うんだ!?」
「演練でやったじゃないですか。あの剣技ですよ。」
「やれって言ってやれるもんじゃない!咄嗟に放った剣だから覚えてないんだ!」
「なら、思い出してください。どちらにしろ、あれがここに落とされたら一巻の終わりです。どうにか出来る可能性があるとしたら鶴さんの斬撃しかありません。鶴さんでダメならみんな仲良くあの世行きです。」
すっごい脅し文句が返って来たぞ、と鶴丸は遠い目をした。
正直なところ、あの時は無我夢中で自分が何をしたのか、何が起こったのか、鶴丸はまるで分からなかった。
本丸に帰ってから、何度か試してみてはみたものの、同じ剣は二度と振れなかった。