第72章 忍界大戦5
そうきたか、とレンは微苦笑を浮かべた。
確かに里の頂点に立てば、誰にも見下されることはないだろう、とレンも思う。
そして、少し眩しい、とも思ってしまった。
レンは恨みに走り、ナルトは見返すことを選んだ。
これは天と地ほどの差がある。
仲間だと思っていたが、実はそうでなかったことが少し寂しかった。
『あ〜!笑ったな!オレってば、ぜってぇ火影になってやるんだからな!誰よりも強い忍になって、誰にも文句言わせねぇからな!』
ナルトは、鼻で笑われたと思ったのか、ムキになって騒ぎ立て始めた。
レンはゆっくり立ち上がると、彼の頭を優しく撫でた。
『文句はない。なりたいと思うなら目指せばいい。』
レンがそう言うと、ナルトは目を見開いた。
『バカに…しねぇのか…?』
『まぁな。叶わない夢だな、とは思うが、気持ちは伝わった。』
ナルトは暫く目を見開いたまま呆然とレンを見ていたが、何やら考え出した。
『…ん?いや、待てよ…?それ、やっぱバカにしてねぇか?』
レンはゆっくり首を横に振った。
『お前はその道を真っ直ぐ目指せ。そして立ち止まるな。』
ー立ち止まらないでくれ。
レンの願いが込められたエールだった。
『おう!分かったってばよ!』
ナルトは屈託ない笑顔で答えた。
レンはそれをほっとしながら見ると、黙ってその場を後にした。