第72章 忍界大戦5

この頃のレンは、リヨクの死からまだ立ち直れてはいなかった。
リヨクの死がどこか悪夢めいた、非現実的なことのように受け止めていた。
そして、この原因となったダンゾウに人知れず深い恨みを抱いていた。

『どうだ？』

だから聞いてみたかった。
自身と同じ様に忌み嫌われているナルトが出す答えを知りたかった。

ナルトは、腕を組んでう〜ん、と唸りながら懸命に考える。

『…よく分かんねぇってばよ。』

レンはそれを聞いて、少し残念そうに視線を落とした。

ダンゾウを恨むなんて、やっぱり異様なのだろうか。
根として、歯車の一つとしての役割を全うする。それが在るべき姿なのだろうか。
その葛藤がレンの中で軋み合い、ゆっくりと傷を深くしていく。

『けど、オレは…。オレを嫌な目で見てくる奴が許せねぇ。バカにしてくる奴がキライだ。』

レンは再びナルトに視線を向けた。

『だからって、痛めつけたいとは思わねぇってばよ！そしたらアイツらと同じになっちまう。』

レンは驚きで目を見開いた。

『オレは火影になりてぇ！
ジィちゃんみたいな火影になればみんながオレを認めてくれる。みんなを見返すことが出来る。嫌な目で見られなくなる。』